堅調に推移する農畜産業          ● フィリピン


第1四半期農業統計公表される

 フィリピン農務省農業統計局(BAS)は今月中旬、2003年第1四半期の農業生
産統計を公表した。それによると、農畜産業全体の生産額は前年同期比8.9%増の
1,676億ペソ(4,022億円:1ペソ=2.4円)となった。これは2001年を基準とす
る価額に換算すると、2.8%のわずかな増加に止まっており、大統領直属機関であ
る経済開発協議会が掲げる中期目標である年間3.4〜4.3%の成長率には及ばない
ものの、第3四半期以降天候が回復することが見込まれるため、農務省は目標値
の達成が可能だとしている。

トウモロコシの生産が急増

 1月から3月までの3カ月は、いわゆるエルニーニョ現象などの影響で、例年
に比べ26%程度降水量が減少した。しかし、作物生産額は前年同期比9.4%増の
876億ペソ(2,102億円)となっている。このうちトウモロコシの生産量は135
万トンで、同21.9%の大幅な増加となっており、他の作物生産が低調に推移する
中、生産の今月中旬、伸びが顕著となっている。この要因は種子の調達が順調で
あったこと、生育期の天候が良好であったことなどが挙げられている。

堅調に推移する畜産

 家きんを除く畜産の生産額は264億ペソ(634億円)、前年同期比6.2%増と
なった。このうちの80%以上を占める豚の生産額は同3.3%増の209億ペソ(502
億円)、生産量は4.7%の増加41万5千トン、となった。しかし農家出荷価格は、
不正輸入の横行などによる供給過剰から、生体重1キログラム当たり1.4%安の
50.4ペソ(121円)となった。肉用牛の生産額は33億ペソ(79億円)、27%増
と大幅に増加したが、生産量は6万2千トン、0.4%の減少となっており、急激な
価格の上昇が見られる。水牛および山羊については生産額がともに増加し、それ
ぞれ5.9%増の12億ペソ(29億円)、12.4%増の10億ペソ(24億円)となった。
牛乳・乳製品は前年は低調に推移したが、今年は生産額で23.4%増の4千2百万
ペソ(1億円)、生産量は約2%の増2千6百トン、と回復の兆した。

 家きんの生産額は合計で14.1%の249億ペソ(598億円)増となった。アヒル およびアヒル卵の生産が前年並みもしくは前年をわずかに下回り低調に推移して いる。一方、鶏肉の生産額は15.3%増の193億ペソ(463億円)、生産量は4.4% 増30万4千トンとなった。鶏卵は43億ペソ(10億3千万円)14.2%の増加で、 生産量では6万5千トン、10.2%の増加となっている。


飼養頭数の推移

 BASは2003年当初の家畜飼養頭数の速報値も公表しており、豚は1,236万頭
と前年比6.1%の増加、水牛は317万頭で同1.6%増加。牛は256万頭で同0.4%
増、山羊は331万頭で同0.5%増と、牛、山羊の増となっている。家きんについ
てはブロイラーが3千8百万羽で14.4%とかなりの増加を示しているのに対し、
採卵鶏は1千7百万羽、1.3%の増加に止まっている。在来鶏の飼養羽数は7千2
百万羽とされているが、これは前年に比べ5.7%の減少を示しているのが特徴的で
ある。



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