EUにおけるオーガニック農業への取り組みが拡大


オーガニック農業大幅に拡大/font>

 EU統計局(Eurostat)は3月6日、2000年のEU加盟15カ国におけるオーガ
ニック農業の取り組み状況(オーガニックへ転換中のものを含む。)を発
表した。

 これによれば、EUにおけるオーガニック農地の面積は、382万3千ヘクタ
ール(全農地面積の3.0%)となっており、98年の228万8千ヘクタール
(全農地面積の1.8%)と比べ67%の増加となっている。国別に見ると、
イタリアがEU全体の27%を占め最大であり、イギリス(15%)、ドイツ
(14%)がこれに次いでいる。98年と比べ2000年の面積の伸び率が最大で
あった国はイギリスであり、634%の増加となっている。これは、スコット
ランドにおける大規模粗放的農家の転換によるものと説明されている。ま
た、オーガニック農地面積の全農地面積に占める割合が高いのは、イタリ
アとオーストリア(ともに8%)、フィンランド(7%)、デンマークとス
ウェーデン(ともに6%)の順となっている。

 2000年のオーガニック農家数は、13万3千戸(全農家の2%)であり、98年
の10万戸に比べ32%の増加となっている。オーガニック農家の割合が高い国
は、オーストリア(全農家の9%)、フィンランドとデンマーク(ともに6%
程度)、スウェーデン(4%)の順となっている、

 一方、オーガニック農家の1戸当たりの農地面積は、国、EU内の地域、作
物によりばらつきはあるものの、全農家のそれと比べると大規模なものとな
っている。国別では、ポルトガルで6倍、イタリアでは3倍、英国では2倍の
規模となっている。

飼料作物関係の作付けが最大のシェア

 オーガニック農作目は地域により異なっており、北部地域(デンマーク、フィ
ンランドおよびスウェーデン)では、穀物、飼料作物、草地・採草地が占める割
合が大きく、年により多少の変動はあるもののそれぞれ、全体の4分の1程度とな
っている。西部地域(オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグおよびオランダ)
では、草地・採草地の占める面積が突出しており、全体の7割強となっている。
南部地域(フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガルおよびスペイン)では、
上記の2地域に比べ作物の種類が多く、草地・採草地が最も大きな割合(約3割)
を占めているものの、飼料作物(約2割)、穀物(15%程度)、オリーブ(約1割)、
ワイン用ブドウ(3%)などが作付けされている。

家畜の飼養頭数も大幅に拡大

 オーガニック畜産物については、ベルギーとオランダについてのみデータが公表
されている。すべての畜種で取り組みが拡大しており、特に養豚部門と養鶏部門で
大きな伸びを示している。一方、牛については、養豚部門や養鶏部門ほどの伸びは
ないが、これはライフサイクルの長さ等からオーガニック農業への転換、ひいては
利益を得るまでに時間がかかることが要因と考えられている。しかしながら、今般
発表されたオーガニック畜産物についての資料は、2年間のデータのみで作成されて
いることから、生産の傾向を判断するには今後数年間のデータの蓄積を待つ必要が
あると考えられる。


オーガニック畜産物の生産状況


注:伸び率は、1999年と比較した2000年の値
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