先進的食肉回収システムにおける抽出検査を開始 ● 米 国
ANRシステムによる食肉製品の抽出検査を開始
米農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)は3月3日、先進的食肉回収
システム(Advanced Meat Recovery:AMR)により生産された食肉製
品の安全性を確実にするための抽出検査を開始したと発表した。これ
は昨年12月、FSISのAMRシステムに係る内部指令の改正において示さ
れた抽出検査を定期的に実施することとしたものである。検査の結果、
中枢神経組織などが検出された場合には、FSISは市場に流通した当該
製品の自主回収を要求することとなっている。また、検査官は当該施
設が適切な是正措置を講じたかどうか追跡調査を行い、適切な処置が
講じられない場合は、AMRシステムによる食肉製品の生産は認めないと
している。
ANRシステムによる食肉製品は年間84,000トン製造
AMRは、先進的な機械除骨方法であり、手作業で除骨した場合と同等
の肉の残留水準を確保できる。FSISの規則によれば、AMRシステムを用
いて製品を製造する場合は、枝肉の頚椎および脊椎から脊髄を除去しな
ければならない。AMRにより得られた食肉は、骨が圧搾・粉砕されてお
らず、人間が手作業で除骨作業を行った場合と同様に自然な形でバラ骨
などが残っており、当該製品のカルシウム含量が0.15%を超えないか、
骨の固形ベースで0.03%を超えないものとされている。これらの条件に
合致した場合のみ、当該製品が「食肉」と見なされる(従って、圧搾・
粉砕などを行う機械分離肉(Mechanically Separated Species)は、食
肉として販売できない)。
FSISは昨年、34施設を対象にAMRシステムにより生産された食肉製品
に中枢神経組織が含まれていないかかどうかの調査を行い、その結果、
最終製品の約26%から脊髄組織が、同様に約10%から背根神経節が検出
され、全体では最終製品の約35%に神経組織が含まれていたとする報告
を行った。
米国食肉協会(AMI)によれば、AMRシステムを用いて生産される牛肉
製品は年間約4,500万ポンド(約2万400トン)、同様に豚肉製品が約1億
4,100万ポンド(約6万4,000トン)であり、それぞれ、生産量の約0.17%、
約0.73%を占め、AMRにより製造された食肉は年間約1〜1.5億ドル(約120
〜180億円、1ドル=120円)の価値があると評価している。これらは、主
としてひき肉、ミートボール、タコスの具などの加工用原料として使用
される。
ANRシステム規則に対するパブリックコメントを募集
FSISは、前述の調査結果を踏まえ、AMRシステムにおいて中枢神経組織
を除去することを義務付けることを含めた規則の制定を進めたいとし、現
行のAMR規則に対するパブリックコメントを募集するとしている。
AMRシステムにより製造された製品の「食肉」としての表示の問題や製
品の安全性などについての動きが注目されるところである。
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