◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、肉牛産業の年次予測レポート「Austr alian Cattle Industry Projection」の2003年中間見直しを発表した。このレ ポートは、今年1月に発行された同レポートを1月から半年経過した時点で主要 市場の動向の変化などを勘案し、再度予測を見直したものである。 今回の見通しのカギを握る要因として、・日本と韓国からの需要増、・堅固 な国内需要、・タイトな北米の牛肉供給、・今春における干ばつの緩和の見込 み、・豪ドル高−を挙げている。
全国の肉牛飼養頭数は、干ばつのため2002/03年度(7〜6月)に187万頭減少 (前年同期比6.7%減)し、2003年6月末では2,600万頭としている。多くの地 域で続く繁殖環境の悪化は、2003/04年度まで牛群の再構築を妨げることから、 2004年6月末の飼養頭数は前年とほぼ同水準の2,610万頭と見込んでいるが、以 後は前年比3%前後で増加すると予測している。 また、2003年の牛肉生産量は前年度比7.5%減少の194万トン、2004年はと畜 頭数の減少からさらに5.2%減少し184万トンとなると予測している。しかし、 2005年以降は飼養頭数の回復と1頭当たりの枝肉重量の増加から2007年度まで 順調に増加するとみている(図1)。
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資料:MLA「Australian Cattle Industry Projections」 注:2002、03年は速報値。04年以降は予測値 |
2003年における牛肉輸出量は、日本と韓国向けが増加するのに対し、カナダ と米国向けでかなり減少するため前年比8%減の85万トンと見込んでいる。輸 出量も国内の飼養頭数が回復するに伴い増加するとし、特に2006年から2007年 にかけてかなり伸びることから2007年には110万トンと予測している(図2)。 肉牛・牛肉価格は、干ばつの影響による飼養頭数の減少などを背景に、大部 分の市場での強まる需要と供給減によって今後3〜5年は、高値で推移すること が見込まれている。国内市場においても牛肉の小売価格は、タイトな供給が継 続するために高い水準で推移し、その結果として消費を減少に導く可能性が高 いと懸念している。2003年の年間1人当たりの牛肉消費量は、1月の予測よりも 減少幅は小さくなったものの前年と比べて2.7キログラム減少し、34.3キログ ラムになるとみている。
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資料:MLA「Australian Cattle Industry Projections」 注:2003年以降は予測値 |
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