ブルネイの畜産


ひとくちMemo

 ブルネイはカリマンタン(ボルネオ)島北部沿岸に位置
し、人口34万5千人、面積5千765平方キロメートルと千葉
県とほぼ同じ面積の小さな国である。石油や天然ガスなど
の豊富なエネルギー資源を有する豊かな国であり、国民は
最低限の生活が保証されていることや公務員の就労人口に
占める比率が7割を超え、所得も高額であることなどの背
景により、農畜産業は担い手の恒常的不足を招いて来た。
従来、畜産物の大部分を輸入に依存していたが、1991年に
は政府によって農業用地の貸付地代が引き下げられ、農家
に対する融資制度が堂説されるなどの復興制作がとられ、
わずかではあるがその規模を拡大しつつある。
   
首都バンダル・スリ・べガワン市中心部のオマール・アリ・サイフディン・モスク
     
 
食肉販売店 

  イスラム教を国教とする同国では、他のイス
 ラム教圏の国へ将来的な輸出を見据え、1999
 年に食品に対するハラル(イスラム教の教義
 に則り適切に処理された食品)基準の教化が
 なされた。食肉製品には認証シール等が付さ
 れている。

   MCFARM

  1970年代に三菱商事の出資により肉牛肥育実証展示・営農普及を行う牧場として
バンダル・スリ・べガワン市郊外トンク村に開場。  現在、3名の日本仁スタッフ
と併せ36名の従業員で運営されている。地場産業と競合せず、新規の担い手に対す
る営農指導および普及を行うことを目的としており、ほかに山羊、ホロホロチョウ、
野菜の水耕栽培、水産業と多角経営を行っている。今年12月には牧場敷地内に農業
公園を開園する予定。

 写真は豪州から輸入されたドラウトマスター種にブラーマン種を交配し、耐病性
等の品種を作り出している。
   
  近年ホロホロチョウの飼養を開始。その容貌と鳴き声は独特。
  取材時約290羽。山羊同様、現地の熱帯環境に即した飼養方法を
  確立し、その後は指導に努める予定とのこと。
 
  3年前から山羊の飼育を開始。飼養管理に関する営農普及を
 確立した後は、地場後継者の指導に努めることとされている。
 取材時頭数は約430頭。

 
 Hua Ho Agriculture Farm
	
 同国内で近年シェアを伸ばす同族経営のスーパーマーケッ
ト(華和百貨商場、現在8店舗)を販路とするブロイラー&レ
イヤーファーム。1972年に200羽から操業を開始。91年からの
復興政策実地を期に急速に規模拡大中。現在生産能力はブロ
イラー月間18万羽、鶏卵日産7万5千個。従業員50人で4ヶ所の
農業を経営している。飼料はトウモロコシ、大豆を主体とし、
コスト対策のため競合する大手飼料会社のカーギル社とゴー
ルドコイン社製を5:5で混合して使用している。
	
 写真は、ブロイラー鶏舎内。緒もにコブ、ロス種。落ち着
かせるために緑色のライトで照明するとのこと。鶏舎内は空
調設備により27〜28度に保たれる。年間6回転で更新し、オー
ルアウト時に鶏糞が集められ、30kg1袋あたり2ブルネイドル
(約130円、1ブルネイドル=65円)で販売される。    

 
  旧タイプの開放型鶏舎。空調設備の整った新鶏舎
 は1万4千羽規模、開放式の旧鶏舎は9千羽規模だが、
 ランニングコストは同じだと言う。 
 
  採卵(レイヤー)鶏舎内。品種はブラウン種主体。
 産卵数を高めるには赤いランプで照明することが効
 果的とのこと。集卵はオートメイション化され、輸
 送中のロスは1%程度。同社では、従来の開放型鶏
 舎から順次空調設備の整った鶏舎に移行しており、
 鶏舎周辺は降雨によるぬかるみを考慮し管理道はコ
 ンクリート塗装。
 

 併設孵卵場にはデンマーク(Linco社)製など多数の孵卵機を設置し、
インドネシアのジャカルタから週1万7千個の種卵を輸入している。死卵
率5%。ちなみにオランダからの輸入の場合1%とのこと。写真の人物は
アイデアマン社長の劉孝徳氏。
 Huseyn Rahman Ent.Co.

 特用家畜のと場、加工場を併設するフィードロット牧場。主に豪州ダーウィンからブラーマン種の交雑種を主体に、
1月当たり去勢牛180頭、未経産牛80頭、水牛は90頭程度を輸入するという。1日あたりと畜頭数は5〜20頭、らくだは、
ばらつきがあるものの4〜10頭とのこと。従業員数25人、うち直売店販売員が2人。

 写真はオーストラリアから輸入されたらくだ

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