米農務省、今後のメキシコの鶏肉需給を予測
今後もメキシコ鶏肉需要は堅調と予測
米農務省海外農業局(USDA/FAS)は9月2日、メキシコ鶏肉産業の状況と今
後の需給予測を公表した。FASによれば、2002年から2003年にかけ、メキシコ
国内の景気は減速しているものの、牛・豚肉などに対する価格の優位性など
を背景に鶏肉需給は堅調に推移し、2003年から2004年にかけてこの傾向は続
くと予測している。概要は次のとおり。
牛・豚肉などに対する価格優位性や消費者の健康志向の高まりなどから200
3年の鶏肉消費量は前年比6.1%増の256万トン、2004年が前年比5%増の268万
8千トンに達すると予測している。メキシコのウエットマーケットでは消費量
全体の29%が生体で、露店などでは25%がローストチキン(内臓抜き)で消
費されている。
2004年の鶏肉生産量は前年比5%増の241万2千トン
2003年の鶏肉生産量は、効果的なマーケティングキャンペーンを実施したこ
と、鶏肉加工処理業者の財政状態が良好だったこと、製品の品質向上が堅調な
需要を後押ししたことなどにより前年比6.5%増の229万7千トンに達するとし
ている。
本年1月、北米条約協定(NAFTA)に基づき鶏肉などへの関税が撤廃された。
しかしながら、メキシコ国内で需要が強く米国では不需要部位である「もも肉」
の輸入急増を恐れるメキシコ政府と輸入急増に対する報復措置としてのアンチ
ダンピング措置発動を恐れる米国政府の思惑が一致し、「もも肉」に限り暫定
的セーフガードを措置することが両国政府間で合意された(既報「海外駐在員
情報(通巻564号)参照」)。さらにメキシコ政府はこの暫定期間が終了する7
月25日、2003年から2008年までの関税割当の実施とセーフガード措置(年1%
の関税枠拡大、セーフガード発動時の関税率を段階的に低減)の継続について
米国政府と合意したと発表している。FASの報告では、これら一連のNAFTAに基
づく「もも肉」に対する国境措置の継続が今後の国内生産量の拡大に寄与する
としている。
引き続き堅調な鶏肉需要と人口の増加により2004年の鶏肉生産量も過去2年
間とほぼ同じで順調に推移するとし、前年比5.0%増の241万2千トンに達する
と予測している。
鶏肉輸入量については、2003年が前年比3.8%増の26万4千トン、2004年が前
年比4.9%増の27万7千トンになると予測している。
鶏肉産業の垂直的調整と寡占化が進展
更に報告では、今後の鶏肉産業の構造について生産から処理加工部門におけ
る垂直的調整と企業の寡占化が進展したとしている。メキシコの鶏肉生産にお
ける飼料費がコストに占める割合は55%であり、このうちソルガムやとうもろ
こしの60%、油糧種子やたんぱくミールの23%を輸入に頼っている。生産コス
トの低減を図るため垂直的調整が進み、現在、メキシコ産鶏肉の約80%がそれ
らの企業によって生産されているとしている。また、これと並行して企業の買
収・合併も行われ、鶏肉産業の寡占化が進んでおり、現在、メキシコ産鶏肉生
産量に占める上位3社の割合は約60%となっている。5年後にはこの割合は80%
に達すると予測している。
元のページに戻る