◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)は8月6日、豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の 結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2003年6月末時点で66万8千 頭となり、前年同期と比べるとすべての州で減少し全体では9%の減少となった。 ちなみに豪州全体の約5割を占めるクインズランド州は11%減の34万4千頭、 同じく約4割を占めるニューサウスウェールズ州は7%減の24万7千頭となっ ている。 例年、6月末の飼養頭数は冬季のため牧草が少なくフィードロットでの飼養が 増えることから3月末の頭数より多くなる。それに伴い、フィードロット全体 の収容可能頭数に対する利用率も、6月末は3月末より高くなる傾向がある。 しかし、今年は飼料の価格上昇などから前回調査の3月末と比べ飼養頭数は3% 減少し、利用率は4ポイント減の73%となっている(図1)。
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資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」 注:QLD=クインズランド州、NSW=ニューサウスウェールズ州、VIC=ビクトリア州、 SA=南オーストラリア州、WA=西オーストラリア州 |
一方、仕向け先別に見ると、輸出向け頭数は前年同期と比べると19%減の32 万3千頭(フィードロット総飼養頭数の48%)、国内向け頭数は同8%増の33 万5千頭(同50%)となり、調査開始以来、初めて輸出向け頭数が国内向け頭 数を下回った。また、輸出向け頭数のうち日本向けは、同19%減の28万8千 頭となり、1998年9月調査(27万9千頭)以来の低い水準となった(図2)。 3月末と比べると、輸出向け頭数は10%減、日本向け頭数は9%減となって いる。MLAでは、輸出向け頭数が減少した要因は、前回調査同様、・豪ドル高 ・干ばつによる飼料価格の上昇などによるコスト増・牧草不足による牛の早期 導入などを要因とする導入素牛の発育状態の悪さ・素牛価格の値上がり−によ るとしている。また、国内向け頭数が増加した要因は、干ばつによる牧草不足 から国内市場向け肉用牛をフィードロットに導入し飼育したためとみている。
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資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」 |
ALFAのマコノーチ会長は、現在豪州のフィードロット部門が抱える問題とし て、上記の他に、主な牛肉輸出先である日本や韓国の消費の低迷や日本の冷蔵 輸入牛肉に対する関税緊急措置発動による牛肉消費への影響を挙げている。こ のことから、輸出向け頭数が国内向け頭数を下回る状況は、次の調査(9月末) でも続くとみている。ただし、冬の終わりから春にかけての降雨状況や日本市 場などの動向によると前置きしながらも、最近の降雨により穀物価格が低下し てきていることから、「年末に向かっては、飼養頭数の増加が期待できる」と 述べている。
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