◇絵でみる需給動向◇
デイリー・オーストラリア(DA:2003年7月に旧豪州酪農庁(ADC)と旧 酪農研究開発公社(DRDC)を統合し設立))によると、2002/03年度(7〜6 月)の生乳生産量は1,032万6千キロリットルとなり、過去最高を記録した2001 /02年度の1,127万1千キロリットルと比べ8.4%減少した。減少の主な原因 は、主要酪農地域での干ばつの影響によるものとしている(図1)。
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資料:ADC「Monthly Statistics」、「Dairy Compendium」 注1:2002/03年度(速報)は、DA「Australian Milk Production」 注2:QLD=クインズラント州゛、NSW=ニューサウスウェールズ州、 VIC=ビクトリア州、SA=南オーストラリア州、 WA=西オーストラリア州 |
豪州最大の生産州であるビクトリア(VIC)州の生乳生産量は、前年度に比べ 11.1%減少の658万4千キロリットル(生乳生産量の63.8%を占める)となっ ている。月別に見ると、2002年11月まではおおむね前年同月並みで推移して いたが、12月以降は前年同月をかなり下回って推移した(図2)。特に、2002 年2月から2003年3月にかけては前年同月を20%以上下回っており、飼料等 のコスト高から飼養頭数を減らしたことに加え、乾乳時期(豪州、ニュージー ランドでは一般的に草資源が不足する4〜6月にかけて乾乳する。)を早めたこ とから生乳生産が大幅に減少したものと思われる。
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資料:DA「Australian Milk Production」 |
その他の州を見ると、第2位の生産州であるニューサウスウェールズ(NSW) 州は3.1%減の130万2千キロリットル、南オーストラリア州は2.5%増の73 万3千キロリットル、クインズランド州は3.4%減の71万9千キロリットル、 タスマニア州は12.8%減の58万5千キロリットル、西オーストラリア州は 1.6%増の40万3千キロリットルとなった。全国に占める割合は、それぞれ 12.6%、7.1%、7.0%、5.7%、3.9%となっている。主要酪農地域では生乳生 産量は減少したが、一方で干ばつ下でありつつもわずかながら生産量が増加し た地域があった。
豪州での酪農は、降雨に恵まれた地域に限られるため、天候と牧草の生育状 況により生産量は大きく増減する。各州政府では州独自の干ばつ救済措置を実 施しており、例えばVIC州では共同の緊急給水ポイントの設置支援や干ばつの 影響を受けた農家への援助交付などを行っている。また、NSW州では農家のロ ーン負担の軽減、水や乾草の輸送費補助などを行っており、これらの措置がな ければ離農などが進み、さらに生産量は減少していたであろう。
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