米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○22003年上半期の乳製品需要はわずかに増加


● ● ● 消費量は前年比1.6%増 ● ● ●

 米農務省(USDA)が先ごろ発表した2003年上半期の乳製品需要動向による
と、2003年1〜6月の乳製品消費量(全乳ベース。政府の国内向け無償給与を
除く。以下同じ)は、前年同期比1.6%増の3,818万トンとなった。このような
乳製品消費量の増加は、実質国内総生産(GDP)成長率が、2003上半期では
1.6%増と伸びを示している。

● ● ● バターは増、チーズおよび脱脂粉乳は減少 ● ● ●

 一般的に乳製品の需要は、景気変動の影響を受けやすいと言われ、好景気時
には高級食材や外食志向が高まり、チーズやバターの需要が増加する傾向が見
られる。

 2003年上半期(1〜6月)の消費量を製品別に見ると、バターについては、
同1.3%増の26万5千トンとなった。

 一方、生乳の5割近くが仕向けられるチーズの消費量については、チェダー
チーズをはじめとするアメリカンタイプが1.2%減、モッツアレラチーズに代表
されるイタリアンタイプ等のその他のものが0.4%増となり、チーズ全体では
0.3%減となった。また、脱脂粉乳は、主に業務用の不振から、前年同期比5.5%
減の13万2千トンとなった。脱脂粉乳など無脂乳固形分の需要は、乳飲料やア
イスクリーム向けの原料用が中心であるが、それらの需要は縮小しているもの
と見られ、政府および民間の在庫量は2001年以降高い水準にある。
表-1 2003年上半期乳製品消費量等
資料:USDA/ERS「Livestock, Dairy and Poultry Outloo
 注:GDPは連邦準備銀行予測(単位:億ドル)

● ● ●03/04年DEIP割当数量発表 ● ● ●

 USDAは8月15日、2003年7月から2004年6月までの乳製品輸出奨励計
画(DEIP)に基づく年度割当数量を発表した。同時に当該年度第1回配分数量
を発表しているが、当面チーズについては補助金付き輸出の対象としないとの
方針を明らかにしている。これは、チェダーチーズの価格が6月から前年同月
比38.2%増のポンド当たり160セント(キログラム当たり416円、1ドル=118
円(40ポンドブロック、ウイスコンシン地区、FOB価格))と急騰しているこ
となどによる。
表-2 DEIPの品目別、地域別割当数量
資料:USDA/FAS NewsReleases
 注:年度は7月〜6月
DEIP:
DEIPは、EU等による乳製品の補助金付き輸出に対抗するため、同様な
乳製品の輸出に対して補助金を交付することにより、競合する地域における米
国産乳製品の競争力を強化し、輸出市場の拡大を図ることを主な目的としてい 
る。本計画は、85年農業法により初めて導入され、その後、現在まで農業法上
引き継がれてきている。

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