EU、産地表示保護産品を国際的に主張


EUの産地表示保護産品をWTO会議で主張

 EUは8月28日、EUの産地表示保護産品のうち、国際的に産地表示の保護が望
まれる農産物等をリストアップした。これについてEUは、9月10日から始まる
世界貿易機関(WTO)の閣僚会議において、知的所有権の貿易関連の側面に関
する協定(TRIPs協定)の分野と農業分野において協議されることを目的とし
て行ったものである。
 EUでは、92年に制定された規則(2081/92/EC、2082/92/EC)で、
農産物の品質特性が生産地域に対して特別な関連を持つ場合、その農産物に関
する原産地呼称の登録を認めている。EUで原産地登録がある農産物で、特に世
界的に有名で良質な農畜産物、ロックフォール(フランスのチーズ)、パルマ
ハム(イタリア)などの名称については、今日、EU域外で乱用され、これらの
産品の信頼、価値などにダメージを与えている。
 EUでの産地表示保護された産品は、EUにとって大変経済効果があると考えら
れている。現在この産品は、約4,800種(ワイン4,200種、その他600種)あり、
これら産品の年間の売上は、フランスで190億ユーロ(約2兆4,510億円:1ユー
ロ=129円)、イタリアで120億ユーロ(約1兆5,480億円)、スペインで35億ユ
ーロ(約4,515億円)となっている。また、関係農家数などでも、フランスで
13万8千の会社や組織、イタリアで30万人の農家が関係している。

農産物で19品目をリストアップ

 こうした中、EUは、良質で地域限定された産地表示保護産品について、WT
O交渉で、次のことに焦点をあてて交渉することを予定している。@産地表示
保護産品の国際登録簿の作成(TRIPs分野)・国際的に表示保護される産品の
範囲を、今まで検討されていたワイン類から、他の農産物まで拡大(TRIPs分
野)A世界的に乱用されたEUの産地表示産品の信頼回復(農業分野)。
 この件に関してフィシュラー委員(農業、漁業、農村開発担当)は、「EU
は、WTO交渉において、インドのダージリン茶、スリランカのセイロン茶、
グァテマラのアンティグアコーヒー、モロッコのアルガンオイル(食用油)な
どと同調し、地域的に良質な農産物の産地表示保護の合意を取り付けるため最
大限の努力をする」と述べている。
 EUが、WTO閣僚会議に向け、最終的にリストアップした産品は、41品目で、
そのうち22品目がワインなどの酒類、残り19品目がその他の農産物として提
案された。その他の農産物のうち、畜産物(17品目)の内訳は以下の通り。
産地表示保護産品リスト



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