順調な成長が見込まれる鶏卵生産  ● マレーシア


半島北部で種鶏羽数が大幅増

 マレーシア農業省獣医局は、このほどマレーシア半島部諸州における2002
年の養鶏(鶏卵)の実態と2003年の見込みに関する調査結果を公表した。こ
の報告書は、同局が毎年6月〜8月までの3カ月間実施している現地調査を取り
まとめたものであり、種鶏場の生産動向から翌年の鶏卵の需給動向を推定する
手法が採用されている。

 マレーシア半島部の種鶏場は、南部のジョホール州に1社、マラッカ州を中
心とする中部に5社、ペラ州を中心とする北部に4社の合計10社が生産を行っ
ており、2001年に比べ2社減少している。しかし、ペアレントストック(PS)
の羽数は、ペラ州の種鶏場が大幅な増羽を行ったため、前年同期比13.7%増
の約44万羽に増加している。

鶏卵生産量の14%を輸出

 PSの品種構成は、ハイセックスが23.7%(前年同期から4.7ポイント増)、
ローマン・デールが22.0%(同2.6ポイント減)、バブコックが18.9%(同9.
7ポイント増)、イサ・ブラウンが17.7%(同0.6ポイント増)などとなって
いる。PSの導入先は、EUが97.8%(前年同期から16.3ポイント増加)、アメ
リカが2.2%(同4.0ポイント減)となっており、前年まで10%以上を占めて
いたインドネシアからの導入が皆無となった。鶏卵の生産量は、前年比0.7%
増の56億6,700万個であり、1日当たりの生産量は1,508〜1,582万個の範囲
で安定的に推移した。鶏卵の農家出荷価格は、1個当たり0.157リンギ(約5
円:1リンギ=32円)であり、前年の平均価格を0.0023リンギ(約7銭)上回
った。鶏卵の輸出量は、大半がシンガポール向けであるが、の前年を10.6%
上回る7億9,934万個に達し、生産量の約14%が輸出仕向けとなっている。

 2002年の実態調査の分析に基づく2003年の養鶏産業(鶏卵)の動向予測
は、採卵鶏の初生ひなの生産羽数を前年比30%増の3,085万羽としており、
鶏卵生産量を同10.7%増の62億7,200万個としている。このような予測は、
2002年の鶏卵価格が高めに推移したため農家の生産意欲が高まっていること
と、大規模養鶏場における高い収益性を反映したものとなっている。

創業10年で国内最大、生産量の1割を生産、さらなる事業拡大を模索

 大規模養鶏場の高い収益性は、当事務所が現地取材したフアットライ養鶏場
の例に見て取ることができる。同養鶏場はマラッカ州にあり、1日当たりの鶏
卵生産量は、120万〜150万個で国内最大となっている。同養鶏場は、創業者
兄弟が日本へ出稼ぎして得た資金で10年前に零細養鶏場を開始したのが始ま
りであり、その後、最新の施設を次々と取り入れ、規模の拡大と農場の買収で
急成長してきた。同養鶏場では、鶏卵サイズの大きいローマン・デール種を飼
養している。

 同養鶏場は、食品としての安全性が成功のためのキーワードであると認識し
ており、HACCPとISO9001の認証を受けている。鶏卵のサルモネラ・フリー
を維持するため、魚かすは一切使用しておらず、ハラル(イスラム教徒が摂食
可能な処理)に対応するため飼料はすべて植物性のものを使用している。同場
の鶏卵の輸出先は、シンガポールのほかインドネシア、香港となっている。

 経営者によれば、マレーシアの鶏卵生産は戦略さえ正しければ、非常に収益
性が高いとしている。同養鶏場は、現在、8月の操業開始を目指して、液卵調
製品の製造工場を建設中であり、今後、日本を含めた市場開拓を進めていきた
いとしている。



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