米農務省、流通過程での食品安全性確保の指針を公表


衛生面と犯罪、テロ防止のためのガイドライン

 米農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)は8月4日、食肉、家きん肉、
鶏卵などの製品の流通過程における食品安全性確保のためのガイドラインを公
表した。昨年5月に食肉などの生産工場におけるガイドラインを公表したが、
その際、流通過程(工場出荷から輸送段階)におけるガイドラインも作成する
としていた。ガイドラインは、衛生面と犯罪およびテロ行為の防止の2つのセ
クションから構成されており、その概要は次の通り。
セクションI(衛生面)

 食肉、家きん肉、鶏卵などの製品は、微生物の影響を受けやすいため、温度管
理などが重要である。このため流通業者は、トラックや倉庫などでの輸送や荷
役などにおいて次の管理が必要である。

@ セーフティープランの作成:製造業者と流通業者は安全性を脅かす流通過
 程を査定し、セーフティープランを作成

A 倉庫安全システムの確立:適切な温度管理などが行える施設の維持、部外者
 侵入防止のための施錠とフェンスの設置

B 食肉製品などの輸送車両の管理:極度の温度変化や害虫侵入を防御できる
 車両の導入、車両扉の施錠および封印の実施、衛生管理の徹底(82℃の温
 水による庫内の清掃など)。

C 搬入搬出時および荷さばき場の管理:荷さばき場の清掃および消毒などの
 実施。荷さばき場の温度管理(4℃以下)の徹底。

D 輸送時の管理:輸送時の温度管理と記録・点検(少なくとも4時間毎に検温)
 の徹底
セクションII(犯罪およびテロ行為の防止)

 同時多発テロを契機として、国家安全保障の面からも食品の安全性確保は重要
課題であり、流通過程における犯罪およびテロ行為を防止するため、次の管理
が必要である。

@ セキュリティープランの作成:流通過程において犯罪やテロ行為を受けや
 すいポイントの整理とその防止策の策定、毒物などが混入した場合の当該製
 品の早急な回収方法および州や連邦政府への通知マニュアルの整備

A 従業員の教育と審査の徹底:計画的な従業員教育の実施と移民帰化局(INS)
 が採用している移民審査について、指標の導入

B 施設の安全管理対策:従業員IDシステムの導入、訪問者の制限と制限区域
 などの明示、輸送車両の搬出・搬入時の許可および記録の徹底

C 監視体制の強化:不審な行動を行う従業員(作業現場に不要に留まる、施
 設・機械の写真を撮る、関係書類の持出など)がいないかのモニタリング、
 流通過程で取り扱う原料、製品および梱包資材の仕入れ先の確認
パブリックコメントを受け付け

 FSISは今回のガイドラインに対するパブリックコメントを10月3日まで受け
付けることとしている。

USDA、家畜支援プログラム登録の開始を発表

 SDAは8月5日、2003年農業支援法に基づく家畜支援プログラム登録を開始す
ると発表した。2001年か2002年のどちらかの年に干ばつなどの気象災害に
より3カ月以上にわたって牧草生産の40%以上の損失を被った家畜生産者に対
し、飼養規模に応じた補助金が支払われる。登録期間は8月6日から10月24日
までで、予算規模は2億5千万ドル(300億円、1ドル=120円)となっている。

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