農家販売価格回復


◇絵でみる需給動向◇


●●●3月の価格回復、ブロイラー生産量は激減●●●

 タイ商務省発表による3月のバンコク市場のブロイラー生体卸売価格は2月の1キログラム当たり14.2バーツ(39.8円:1バーツ=2.8円)から26.4バーツ(73.9円)にまで回復した。3月の農家販売価格についても生体1キログラム当たり24.8バーツ(69.4円)となっており、鳥インフルエンザによる大量とう汰の結果、3月のブロイラー生産量が3,600万羽にまで減少したことが国内需給にも大きく影響している。

図1 農家販売価格の推移
資料:タイ商務省


 これに伴い3月の農家収益は損益分岐点を上回った。

図2 農家収益(農家販売価格−生産費)
資料:タイ農業協同組合省


●●●調製品の輸出は好調●●●

 3月現在、同国農業経済局発表によるブロイラー生産費は1キログラム当たり24バーツ(67円)を維持しているが、タイブロイラー輸出入協会は6月中旬、輸入トウモロコシ価格の上昇により生産費が急激に上昇しているとしている。同協会によると6月中旬現在の鶏肉調製品輸出価格は2003年平均の1トン当たり2,800米ドル(30万5千円:1ドル=109円)から3,200米ドル(34万9千円)まで上昇しているとしている。

●●●とう汰羽数を公表●●●

 タイ農業協同組合省畜産開発局(DLD)は6月7日、全国の鳥インフルエンザまん延防止対策による家きん類とう汰羽数を公表した。これによると総とう汰羽数は約6千万羽、ブロイラーだけで約1千万羽となっている。ブロイラーのとう汰羽数が最も多かったのはバンコク西方ナコンパトム県の230万羽、次いで北方に隣接するスパンブリ県の160万羽となっている。

 DLDは当初、とう汰総数を2,500万羽と見込んでいたため、生産者補償に要する予算に不足が見込まれるため、予算を追加要求するとしている。

●●●ワクチン使用実態調査開始へ●●●

 5月下旬にタイ北部のチェンマイ大学付属研究施設で鳥インフルエンザ発生が確認されて以降、隣接する北部チェンライ県の国境検問所などで大量に鳥インフルエンザ用ワクチンの密輸が発見された。DLD局長によると、これらの密輸ワクチンは主に大規模養鶏場や大学の付属研究施設などで使用された可能性があるとし、同局は7月から全国一斉調査に乗り出すと発表した。

 同国では現在、食品・医薬品局(FDA)により鳥インフルエンザワクチンの使用が禁じられているが、国立家畜衛生研究所ではH5N1型に適応するワクチンの開発を行っており、国際機関の承認を受けたワクチン使用に関する公的ガイドラインをとりまとめた後、当該基準に従い適切に使用されることとされている。


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