フォンテラ社、販売好調で支払乳価を上方修正


◇絵でみる需給動向◇


●●●今年度の支払乳価を上乗せ●●●

 NZの主要な乳業メーカーであるフォンテラ社の発表によると、2003/04年度(7月〜6月)における生産者支払乳価(乳固形分ベース)を、前回公表時より0.08NZドル高い1キログラム当たり4.23NZドル(約296円、1NZドル=70円)へと上方修正することを決定した。その結果、今年度の平均酪農家収入は7,000NZドル(約49万円)増加することになる見込みである。

 本誌7月号で既報の通り、NZ農林省の中期予測では全国乳業会社の平均支払乳価を下方修正している。同社の見込みはそれと対照的な結果となったが、同社では年度後半における乳製品国際価格の高騰により、予想以上に販売業績を伸ばしたことから、今回支払乳価の上乗せに踏み切ったとしている。


●●●来年度はNZドル安傾向を考慮●●●

 フォンテラ社は同時に2004/05年度の暫定支払乳価の上方修正にも踏み切っている。前回公表時の2003/04年度の暫定支払乳価は近年でも最も低い水準になるとしていたが、最近の米ドルに対するNZドル安傾向を考慮して、来年度の暫定支払乳価の見直しを行い、前回より0.35NZドル高いキログラム当たり3.85NZドル(約270円)へと修正する方針を示した。

 その結果、来年度の平均酪農家収入は31,000NZドル(約217万円)増加することとなり、酪農家は支払乳価をめぐる一連の動きに歓迎の意向を示している。

表 支払乳価の比較
(単位:NZドル/kg)
注1:NZ農林省SONZAFなどによる
2:2003/04年度は概算値、2004/05年度は予測値。
3:支払乳価は乳固形分1キログラム当たりの価格。


●●●国際価格の高騰に警戒感●●●

 NZ農林省は先の予測で来年度以降も乳製品価格は強含みが維持されるとしていたが、一方で、フォンテラ社は最近の乳製品国際価格の高騰に警戒感を示している。現在はおう盛な乳製品需要と供給不足に支えられて、国際価格は歴史的にも高い水準で推移しているが、同社によると、価格の高値感がいずれ需要を鈍化させ、生産者の収益をある程度減少させる可能性があるとみている。そのため、同社は、生産者が国際価格の上昇に過度に期待しないよう同時に注意を促している。


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