二国間の合意書に署名

　欧州委員会は5月21日、ロシアが世界貿易機関（WTO）の加盟国となるために行っていた相互の市場アクセスなどに関する協議に合意し、欧州委員会のラミー委員（通商政策担当）とロシアのグレフ（Gref）貿易大臣が、プロディ欧州委員会委員長、ロシアのプーチン大統領および欧州連合議長国であるアイルランドのアハーン（Ahern）首相の出席の下、合意書に署名したと公表した。

　この合意について、プロディ委員長は「今日、EUとロシアは、貿易および経済についての関係をより強固にした。今回の合意により、ロシアは国際的な貿易に関するファミリーであるWTOへの加盟に向けて大きく前進した。」とのコメントを発表している。

　今回の合意により、ロシアは輸入品に課している平均関税率を、工業製品で7.6％以下、水産品で11％以下、農産品で13％以下とすることとした。また、食肉および家きん肉については関税割当制度を創設し、年間約6億ユーロ（約792億円、1ユーロ＝132円）とした。この金額は、EUからロシアに輸出される全農産物の15％に相当するものである。

ＥＵはロシア最大の貿易相手国

　EUとロシアはこれまでもお互いに主要な貿易相手国・地域であったが、本年5月1日のEUの拡大によりその関係強化はさらに重要となっている。EUはロシアにとって最大の貿易相手地域であり、全貿易の半分以上を占めている。一方、ロシアはEUにとって、米国、スイス、中国、日本に次ぐ5番目に大きな貿易相手国である。主な貿易品目はロシアからは燃料（ガス）や第一次産品がEUに輸出され、EUからは工業製品などがロシアに輸出されている。

ロシア、ＥＵ産畜産物の輸入を一時停止

　ロシアは、牛肉、豚肉など畜産物においてはEUにとって最も重要な輸出国の一つである。

　ロシアは6月1日、EU産畜産物（牛肉、豚肉、家きん肉、乳製品など）の輸入を停止した。

　当地の畜産関係団体によれば、これは本年5月のEU拡大に伴い、ロシアがEUに以前より求めていたEU産畜産物の衛生証明書の統一が実現されていないためである。衛生証明書の統一については、ロシアとEUの当局間での話し合いが数回実施されたが、結論には至っていない。しかしながら、両者の協議により5月1日のEU拡大以降も貿易は続けられていたが、ロシアは6月1日、EU産畜産物の輸入を停止した。このロシアの措置について、欧州委員会幹部は「このような措置は、WTOに加盟を予定している国がとるべきものではない。」と批判したとも伝えられている。

　その後、協議などにより、ロシアは6月5日輸入停止措置を解除し、従来の衛生証明書を本年9月30日まで受け入れることとした。同時に、欧州委員会は、ロシア当局と本年10月1日以降の新しい証明書について協議を行うこととなった。

◎英国産種豚の対日輸出が再開

　英国豚肉生産戦略会議（The British Pig Executive）は、6月1日、2000年の豚コレラ発生により停止していた日本向け英国産種豚の輸出が再開されることを歓迎するプレスリリースを公表した。