カナダ統計局、干ばつとBSE発生が記録的低水準の主な要因と位置付け
カナダ統計局(Statistics Canada)は先ごろ、2003年の国内農家の正味現金収入(総現金収入―事業等総経費)が、1977年来の低水準となる前年比43.3%減の42億カナダドル(3,444億円、1カナダドル=82円)となり、減少率も過去2番目を記録したと発表した。カナダ統計局では、2001年から02年にかけて連続して続いた干ばつと昨年発生したBSEが今回の主な要因であるとしている。特に、穀物(主に小麦、大麦)の主要生産州でカナダの農地の8割を占めるアルバータ、サスカチュワンおよびマニトバの3州での収入減が大きく、それぞれ、前年比72.3%、69.4%、51.2%の減少となったとしている。また、主な要因(干ばつおよびBSE)に加え、燃料費の高騰による肥料など経費の増加(前年比18.7%増)や機械燃料、種子および農薬などの各種経費が軒並み増加(経費全体で前年比3.7%増)したことも正味現金収入を押し下げる要因になったとしている。
カナダ政府、過去最大規模の政策プログラムを実施
政府は、このようなことから、BSE関連対策・作物保険や純所得安定口座(NISA:農家の純所得の安定を図るため、農家、政府が農家個人の口座に金銭を拠出しておき、所得低下時にはその口座から不足分を引き出し補てんする制度)など各種政策プログラムを大規模に実施したとし、前年比41.6%増の49億カナダドル(4,018億円)を農家に対し支出したとしている。これは、1992年の38億カナダドル(3,116億円)を上回る過去最高額となっている。
農家総現金収入、過去3年で最低水準の341億カナダドルに
農家の総現金収入も前年比5.8%減の341億カナダドル(2兆7,962億円)となり、過去3年で最低水準を記録したとしている。このうち畜産部門の収入は、前年比11.1%減の162億カナダドル(1兆3,284億円)とかなり減少しており、特に生体牛部門の収入はBSE発生の影響を受け、前年の3分の1の46億カナダドル(3,762億円)まで減少し、このうち輸出向け生体牛の収入が5億7,200万カナダドル(約469億円)となったとしている。
対照的に、養豚部門の収入は、前年比約30%増と好調な生体豚輸出に支えられ、前年比3.2%増の34億カナダドル(2,624億円)となった。酪農部門の収入も、カナダ酪農委員会(Canadian
Dairy Commission)の価格支持政策実施による市場価格の上昇効果もあり、前年比8.7%増の45億カナダドル(3,690億円)となったとしている。
◎米国農務省、全国家畜IDプログラムに関する公聴会の開催を発表
米国農務省(USDA)は6月10日、全国家畜個体識別プログラム(National Animal Identification Program)に関する公聴会を8月までに全米14カ所で開催すると発表した。USDAのホークス次官(マーケティング・規制プログラム担当)は、「全国家畜IDプログラムについて議論を行っていく。このプログラムにより、政府および業界は、多くの家畜疾病の発生をより迅速にコントロールすることができるとともに、市場への経済的影響を軽減することができるようになる」と述べた。
昨年12月にはベネマン農務長官が同プログラムの構築について公表し、USDA/動植物検疫局(APHIS)に対しプログラム構築の予算として2004会計年度には1,800万ドル(19億6,200万円、1ドル=109円)が計上されている。
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