ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、
2003年1月から8月までのルクセンブルグを除くEU14カ国のチーズ生産量は、
最大の生産国であるドイツや主要輸出国であるオランダで増加したことから、前年同期比0.4%増の約441万4千トンとなった。
国別に見ると、輸出が好調なドイツおよびオランダは、それぞれ2.9%増の約121万8千トン、4.6%増の43万3千トンとなった。
また、最も生産が増加したのは、国内のチーズ消費が好調なオーストリアで6.5%増の9万8千トンとなった。
一方、今年の夏の猛暑により生乳生産量が減少したフランスは、1.8%減の109万6千トンとなった。
また、最も生産が減少したのは、脱脂粉乳やバターなどに生乳が仕向けられたアイルランドで8.5%減の7万9千トンとなった。
EUの2003年1月から8月までのチーズ生産量 |
(単位:千トン、%) |
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資料:ZMP
注:ベルギーは4月までの生産量 |
● ● ● 順調な域外向け輸出が主因 ● ●
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EUのチーズ生産が全般的に増加した主因は、今年前半のイラク戦争の勃発や全般的なユーロ高などであったにもかかわらず、米国やロシアなどの域外向け輸出が順調であったことにある。1月から8月までの域外向け輸出量は、前年同期比2.3%増の約32万1千トンとなった。また、昨年は伸び悩んだ域内のチーズ消費が、今年に入り再び増加していることも影響しているとみられる。ちなみに、昨年のEUの1人当たりチーズ消費量は、18.8キログラムであった。
● ● ● 輸出補助金引き下げが生産に影響か
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こうした中、EU酪農管理委員会は、8月に引き続き10月31日からチーズの輸出補助金を
一律5%引き下げた。これにより、チェダーチーズの輸出補助金は100キログラム当たり110.90ユーロ(約1万4,600円、1ユーロ=132円)
から105.36ユーロ(1万3,900円)、エダムチーズの輸出補助金は、98.05ユーロ(1万2,900円)から93.15ユーロ(1万2,300円)
に引き下げられることとなった。今回の措置は、94年のガット・ウルグアイラウンド合意に基づくチーズの補助金付き輸出の上限枠(数量・金額)
の範囲内に収めるために採られた措置である。また、一時期低下傾向であったユーロの為替動向は、再び上昇の兆しを示していることから、
域外向け輸出はこれまでよりも減少することが予想され、チーズ生産にも影響が出る可能性があるとみられる。 |