ブロイラー卸売価格が急落


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 卸売価格が急落 ● ● ●

 タイ商務省によると、バンコク市場の生体重量ベースのブロイラー卸売価格は、7月の1キログラム当たり45バーツ(122円:1バーツ=2.7円) とここ3年で最も高い水準に達したが、8月には32.2バーツ(87円)と1月間に28%も急落した。

 これは、急激な価格上昇に対する警戒感からの買い控えと、日本が今年5月12日以降鳥インフルエンザ発生のため一時的に輸入停止をしていた 中国産の家きん肉等について、8月17日以降にと畜さされた鶏肉について輸入停止措置を解除するとした効果によるものと考えられる。 この結果、輸出仕向けの一部が国内に仕向けられることとなり、国内の卸売価格が急落した。

 しかしながら、この価格水準は価格が上昇を開始した5月の水準を上回っており、価格の下落は継続するものと見込まれる。

● ● ● ブロイラーの出荷は持続 ● ● ●

 ブロイラーの出荷羽数は4月以降、連続して前年同月を上回るとともに83百万羽を超えて推移し、8月もその傾向は変わっていない。 また、ひなふ化羽数も6月以降89百万羽水準で推移しており、業界の減産の掛け声はあるものの、当面の間、生産水準は維持される可能性が大きい。

ひな孵化羽数の推移

資料:タイ農業協同組合省

● ● ● 厳しい2004年のタイブロイラー業界 ● ● ●

 タイのブロイラー業界にとって、2004年は厳しい年になるとの見通しがなされている。

 第一に飼料価格の上昇が見込まれることである。これは、中国の旺盛な生産意欲が輸入による飼料原料の調達となって表れ、 結果としてタイの業界の飼料コストの上昇になるとの見込みである。

 第二に国内生産の増加である。現在のところ2004年にブロイラーの生産規模を拡大しようとしている企業が2社あり、これらの計画が稼動すると、 タイの業界全体で週当たりの処理羽数が2003年には21百万羽だったものが2004年には24百万羽になると見込まれている。

 第三に輸出市場への供給の増加である。タイの政府関係者によれば、特にブラジルの生産能力はここ2年で毎年20%ずつ増加していると言われており、 中でもヨーロッパ市場への積極的な輸出が注目されているところである。このような状況の中、 低コストで優る米国産の輸出の増加によって輸出市場においてますますタイのブロイラー業界の立場は苦しくなるものと懸念されている。 一方、中国に関しては、飼料コストが上昇するため、それほど競合しないのではないかとの見方がなされている。

 このような厳しい2004年の見通しの中で、タイのブロイラー業界は当面の供給過剰対策として、 今年3回目の初生ひなの生産調整の合意を行っており、2004年1月4日まで、15%の減産を行うこととしている。


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