2003/04年度の主要穀物生産状況調査を発表 ● ブラジル


 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は10月23日、2003/04年度の主要穀物生産状況に関する第1回の調査結果を発表した。生産状況調査は一農年期の作付けから収穫にいたる間に5〜6回程度行われるもので、第1回調査は当該農年度の生産状況を推測する上で基礎となる作付意向調査である。なお、調査は全国主要生産地帯の426郡を対象とし、10月6〜10日に実施された。

 主要穀物(油糧種子を含む14品目)の作付面積は前年度より130〜240万へクタール、3.0〜5.4%増加し、4,520〜4,630万へクタールに達すると見込まれる。生産量はこれをもとに、1億2,440万〜1億2,770万トンの範囲になると予測され、過去最高となった前年度の1億2,260万トンを1.5〜4.2%上回り、来年度も記録を更新すると見込まれている。

 この予測について農務省は、「前年度の極めて良好だった天候が本年度も繰り返される可能性は少なく、気象庁も11、12月の降雨量は、前年を下回ると予想している。しかし、肥料の消費量が前年を10%近く上回る2,100万トンに達する見込みから、前年度の生産性は維持され、面積の増加と合わせて生産量が本年度も記録を更新する可能性がある」とコメントしている。ただし、来年作付けられ、冬期における乾燥や降霜の影響を受ける可能性が高い小麦や第2期作トウモロコシ等は、現時点では前年度の実績をそのまま用いているため不確定要素は大きく、今後の天候の推移によって予測は変更されることになる。

トウモロコシ生産は大豆に押され減少

 次に品目別の作付動向とみると、高値が続く大豆に押されて、トウモロコシの作付けは減少すると早くから予想されてきたが、調査結果はこれを裏付けるものとなった。第1期作の面積は前年度を3.1〜5.5%、30〜53万へクタール下回る910〜940万ヘクタールの見込みとなっている。これは、 (1)2002/03年度の冬期に収穫された第2期作の生産量が予測を大幅に上回ったことから国内供給量が増加し、パラナ州、マットグロッソ州では端境期にもかかわらず、生産者が満足する価格にならなかったこと (2)米国の大豆減産予測、中国を中心とした大豆需要の増加により国際価格の上昇を受け国内価格も上昇したため、生産者が高値の大豆に関心を示したこと−が作付け減少の主な要因であるとCONABは報告している。

大豆作付面積は10%前後の増加

 このような情勢の下、ここ数年間生産記録の更新を続けてきた大豆は、2002/03年度の 5,200万トンを最大で600万トン上回る5,800万トンに達する可能性があると見込まれている。作付面積は前年度を8.5〜12.2%、160〜230万ヘクタール上回る2,010〜2,070万へクタールまで拡大すると推測され、増加分の60%は米から、20%は第1期作トウモロコシから、残る20%は牧草地の耕地化に基づくものとCONABは分析している。

ブラジル政府、GMに関する法案を提出

 ブラジル政府は10月31日、遺伝子組み換え体(GMO)の規制を目的とした法案を国会に提出した。法案は、無許可でGMOの作付け・販売・輸送・貯蔵等を禁止し、違反した場合には3年以下の懲役を含む厳しい罰則が適用されるなどの内容となっている。

 なお、当法案は90日以内に採決されるよう緊急案件として国会に提出されているが、現地では「12月8日、政府が緊急案件であることを取り下げたため、審議と採決は2004年に延長されることになった。政府によれば、他に審議を必要とする案件(年金や税制改正問題)があるためで、緊急案件として取り扱われた場合、12月14日以降、他の審議を取り止めることになるが、短時間で合意を得ることは難しいとしている。しかし、ブラジル政府はGMOに関する政策を定めていないため、2004/05年度の作付けに問題が生じるおそれがある場合、新たに緊急案件として取り扱うよう国会に要請する可能性がある」と報道されている。


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