豪州豚肉産業、拡大基調続く


豚肉生産量は3年連続増加

 豪州の豚肉産業の規模は、生産量でみると日本の約3割にとどまり、かつてはそのほとんどを国内で消費していた。近年、主要豚肉輸出国の一部に口蹄疫などの家畜伝染病が発生したことから、これを契機に豚肉の輸出量が増加し、生産量も増えてきている。

 2002年の豚肉生産量は前年比8%増の約41万トン(枝肉ベース)と3年連続で増加した。2003年に入っても全般的に増加傾向で推移し、1〜9月累計で前年同期比4%増となっている。この要因は、 (1)堅調な輸出需要  (2)
2002年からの干ばつの影響によると畜頭数の増加-とみられる。なお、オーストラリア・ポーク・リミテッド(APL)は「2003年3月から行った新たな販売促進が国内消費の増加につながったのも一因」と述べている。

 しかし、8月から約2年ぶりに生産量は前年同期に比べ減少に転じている。APLでは、この原因を干ばつによる飼料穀物の高騰や供給不足などが母豚や肥育豚の減少を招いた結果とみている。

2002年豚肉輸出量は大幅増加

 輸出量は、1995年以来着実に伸び続けており、2002年は前年比23%増の約6万4千トン(船積み重量)となった。生産量に対する輸出量の割合も1995年の3%から2001年は約20%と、年々増加してきている。2002年の主要輸出相手先とその全体の輸出量に占める割合は、シンガポールが48%、日本が23%であり、両者を合わせると全体の約71%を占めた。2003年1〜9月累計では豪ドル高の影響などで日本やシンガポールへの輸出量は減少したものの、ニュージーランドやフィリピン、台湾などへの輸出量が増加したため、前年同期比約3%増となっている。2000年にはシンガポール向けが全体の輸出量の60%以上を占めていたが、輸出先の多様化により、その割合が低下してきている。

 輸入量は、1996年の豚肉輸入自由化以来、国内産に比べ安価な加工用のカナダ産やデンマーク産豚肉が輸入されるようになり、増加してきている。2002年の輸入量は前年比42%増の4万6千トン(船積み重量)、2003年1〜9月累計では前年同期比9%増となっている。なお、最近デンマーク産が大幅に増加しており、9月の輸入量で初めてカナダ産を上回った。

豪州豚肉の生産状況等


農相、豚肉輸入業者に課徴金支払い要請

 一方、トラス農相は豚肉輸入量の増加を考慮し8月初め、生産者が負担している販売促進費に充てるための課徴金を輸入業者も支払うべきであると加工用豚肉輸入業者に呼びかけた。これが実現すれば、加工用豚肉輸入業者が負担する課徴金相当額は100万豪ドル(約8,100万円;1豪ドル=81円)と見込まれる。現在、生産者は1頭当たり1.65豪ドル(約137円)の課徴金を拠出し、それにより総額850万豪ドル(約6億8,900万円)の販売促進費が賄われている。トラス農相は「国内で販売される豚肉加工品の33%を輸入品が占めており、輸入業者は輸入品の販売に責任を持つととともに、販売促進のための課徴金も負担すべき」と述べるとともに、必要とあらば義務化も考慮に入れていること明らかにした。


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