小売食品部門は大きく成長 米農務省海外農業局(USDA/FAS)が2003年11月に公表した報告書によれば、中国の食品小売部門には伝統的な対面販売のいわゆる「ウエット・マーケット」が地方都市を中心に根強く存在する一方で、大都市では、ハイパーマーケット(超大規模店)、スーパーマーケットおよびコンビニエンス・ストアなどの業態の進出が著くなっている。加えて旧来大都市を中心に成長していたこれらマーケットが地方都市へも進出しており、今後も中国全土に広がる勢いを見せている。 外資主導のハイパーマーケット ハイパーマーケットは、フランスのカルフール(Carrefour)、米国のウォルマート(Wal-Mart)、ドイツのメトロ(Metro)などの外資系小売会社が中国に導入したものであり、大都市を中心に展開している。LianhuaやNong Gong Shangなどの中国企業も中小都市を中心にデパートメントストアとのハイブリット化による独自のチェーン展開をしている。外資系企業は輸入品販売に力を入れており、商品の供給者から徴収する資金で積極的に販売促進活動を行っている。また、ハイパーマーケットでは、さまざまな種類のインスタント食品(ready-to-eat products:すぐに食べられる食品)や、レトルト食品(Heat-and-eatおよびPre-packaged ready-to-cook meal set)や店舗内売店での作りたての軽食販売を行っている。また、最近ハウスブランド商品の販売を開始しているところもある。 スーパーマーケットは、ハイパーストアとコンビニエンス・ストアの狭間で苦戦 スーパーマーケットは、中国で依然として最大の業態であるが、最近はハイパー・マーケットやコンビニエンス・ストアの中小都市への進出により苦戦を強いられている。Lianhua(中国最大の小売会社)、Hualian、NonggongshangおよびSugoが代表的であるり、Lianhua、Hualianは中国全土に展開している。この業態は、競争が厳しいことと極めて利益率が低くいことで外資の参入の余地が少ないとされている。販売される商品は、一般的にまんじゅうや乳製品などの冷蔵・冷凍食品の広範な品揃えを特色としているが、生鮮野菜や食肉などは、品質が一定でないことから、消費者はウェット・マーケットや屋台販売店を好んで利用している。最近では、食肉製品や調理済み野菜やレトルト食品の販売を行うところもある。 コンビニエンス・ストアの競争激化 コンビニエンス・ストアは、依然として中国企業が大半を所有している(Quik=Lianhua、ローソン=Hualianジョイント・ベンチャー)。コンビニエンス・ストアの台頭は上海から、北京や広州へ広がっている。しかし、コンビニエンス・ストアの出店数が増加するにつれて競争は激化し1店舗当たりの収益率が極端に低下している。今後の戦略は人口統計から学生や共働きの夫婦などを標的にした品ぞろえや、バス停や駅周辺の出店また24時間営業などが計画されている。
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