●●●2月の日本向け鶏肉輸出はゼロ●●●
2004年1月に発生が確認された鳥インフルエンザのため、日本政府によるタイ産鶏肉の輸入停止措置を受け2月の日本向け鶏肉輸出実績はゼロとなっている。その他の国への輸出についても激減しており、骨付き冷凍鶏肉の輸出実績はなく、骨なしについてはドイツやオランダなどを中心に4,428トン、前年同月の14.8%と大幅に減少した。
●●●生産量は大幅に減少●●●
2004年2月の生産(出荷)羽数も前年同月を16%下回る約6,653万羽となっている。
また、生産動向に大きく影響するひなふ化羽数については、ここ数年来最低の6,930万羽で前年同月に比べ16%の大幅な減少となっている。一方、初生ひな価格は昨年8月の1羽当たり12.25バーツ(34円:1バーツ=2.8円)をピークにその後下降を続け、2月には7.5バーツ(21円)となっているものの、価格が低調で推移していた前年同月に比べると46%高となっている。
図1 ひなのふ化羽数と価格の推移
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資料:タイ農業省農業経済局 |
生産費に大きな影響を及ぼすもう一つの要因である飼料費の動向については、2003年に入ってからは1羽当たり36バーツ(101円)前後でほぼ変化無く推移している。
生産費全体について見ると2004年2月のブロイラー生産費は48.8バーツ(137円)となっている。
図2 ブロイラー生産費の動向
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●●●農家収益の動向●●●
農家販売価格から生産費を差し引いた農家収益についても、生産費は横ばい傾向で推移しているにもかかわらず、2月は農家販売価格が21.6バーツ(60円)に低下したことに伴い低下し収益分岐点を下回った。
図3 農家収益(農家販売価格−生産費)
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資料:タイ農業協同組合省 |
●●●疾病発生を契機に業界再編が加速●●●
鳥インフルエンザの発生により輸出相手先からの取引停止が相次ぐなど、タイ養鶏産業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、業界筋によると、この影響により鶏肉製品の輸出品全体に占める加工品の割合が高まる傾向が、ますます加速されるとする一方、中小養鶏業者の整理再編が進み、伝染性疾病に対するリスク軽減のため生産現場の大規模集約化が進むと予測されている。
事実、農業協同組合省が5月11日に発表した全国の家きんとう汰羽数は約4千5百万羽で、全国約25万6千戸の家きん飼養農家のうち、補償を受けた農家は5月中旬現在その約半数に過ぎず、多くの中小農家にとって経営再開が困難な状況にあると言われている。また、現在多くの農家は、政府が禁止している鳥インフルエンザ用ワクチンの接種を実際には行っているとされており、現地ではワクチンは容易に調達可能であるとされている。
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