●●●EU15、前年比0.6%減─イギリス9.7%減、ドイツ・スペインは増─●●●
EU統計局(EUROSTAT)によると、2003年12月時点でのEU15カ国の豚飼養頭数は、前年に比べて0.6%減の1億2,151万頭となった。2000年末の牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃により、食肉の需要が牛肉から豚肉にシフトしたことなどから2001年には増加したEU域内の豚飼養頭数も2002年以降は減少傾向にある。
国別にみると、減少率が最も大きかったのはイギリスで、前年に比べて9.7%減の481万頭となった。またフランスやオランダにおいてもそれぞれ同0.8%減、3.5%減となった。一方、EUの主要生産国であるドイツ、スペインでは、それぞれ同0.9%増の2,650万頭、同2.0%増の2.399万頭、また、EU最大の豚肉輸出国であるデンマークでも輸出が拡大していることなどから同0.6%増の1,296万頭と増加を維持した。
飼養区分別の内訳をみると、ドイツ、デンマークで未経産豚が増加したものの、EU15カ国における繁殖用めす豚全体では前年に比べて2.0%減の1,217万頭となった。また、肥育豚(50キログラム超)では同0.6%増の4,712万頭とわずかに増加したが、子豚(20キログラム以下)頭数は、昨年の猛暑の影響により繁殖用めす豚の出生率が低下したことなどから同2.4%減の3,299万頭となった。
表1 国別種類別豚飼養頭数
|
(単位:千頭、%)
|
|
資料:EU統計局
注:各年12月時点での頭数 |
●●●新規加盟国はすべて減少傾向●●●
5月1日に新規加盟した10カ国(AC10)についても、ポーランドが前年に比べて2.9%減の1,844万頭、また主要豚肉生産国であるハンガリーやチェコにおいても繁殖用めす豚が大幅に減少するなど10カ国すべてで減少した。イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、ハンガリーでの豚飼養頭数の減少は、(1)肥育豚の価格低迷(2)飼料価格の急騰−などによるものであるとしている。さらに、MLCによると、特に大規模経営による豚肉生産は生産性が低下し、豚飼養頭数の減少に拍車をかけ2004年ではさらに25%減少すると見込んでいる。
●●●2004年のと畜頭数、減少見込み●●●
EUROSTATによると、2003年12月時点でのEU15カ国における子豚飼養頭数は前年に比べて2.4%減の3,299万頭となった。子豚頭数の減少はEUの豚肉供給に及ぼす影響も大きいため、2004年のEU15カ国におけると畜頭数は、前年に比べ1.0%減の2億254万頭になると見込んでいる。
国別にみると、デンマークでは今回調査時点の肥育豚(50キログラム超)飼養頭数は同2.2%減の366万頭であったが、交配前の未経産豚は前年を3.8%上回り、また、繁殖用めす豚の生産性の改善が見込めることなどから、2004年のと畜頭数は依然堅調に推移し、また、ドイツでは未経産豚の増加からと畜頭数は同1.1%増の4,152万頭になると見込んでいる。一方、飼養頭数が減少傾向にあるオランダでは繁殖用めす豚の減少(同7.7%減)から、と畜頭数についても同4.4%減の1,940万頭と見込んでいる。
表2 国別豚と畜頭数
|
(単位:千頭、%)
|
|
資料:EU統計局
注1:naは未公表1
2 :2003年は速報値、2004年は予測値 |
|