北アジア輸出向けフィードロット頭数が増加


◇絵でみる需給動向◇


●●●前回調査時からわずかに増加●●●

 豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は5月上旬に四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数の共同調査結果を公表した。これによると、2004年3月末時点の総飼養頭数は66万7千頭と、前回調査時点の2003年12月末と比べ2%増となった。一方、2002年12月末と比較すると、3%の減少となった。

 フィードロット飼養頭数を州別に12月末と比較すると、全国の約5割を占めるクインズランド(QLD)州は前月比16.3%減となったものの、QLD州を除くすべての州で増加し、ニューサウスウエールズ(NSW)州では同15.8%増、ビクトリア(VIC)州では同52.2%増、西オーストラリア(WA)州では同44.1%増となった。

図1 州別フィードロット飼養頭数の推移
資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」
 注:QLD=クインズランド州、NSW=ニューサウスウェールズ州、VIC=ビクトリア州、SA=南オーストラリア州、WA=西オーストラリア州

●●●輸出向けが13.6%増加●●●

 一方、仕向け先別にみると、輸出向けが41万頭とフィードロット飼養頭数全体の62%、国内向けが24万9千頭と同37%となり、前年同期と比較すると輸出向け頭数は13.6%増加となり、国内向け頭数は同22.1%減少となった。

 輸出向け頭数が大幅に増加した要因は、放牧シーズンの最盛期の終了によりフィードロットの導入が進む伝統的な傾向に加え、米国におけるBSE発生の影響で豪州産牛肉の北アジア向け需要が増加したことによる。その結果、国内向けが輸出向けに振り向けられ、国内向け頭数は同22.1%減となった。

 なお、QLD州では天候の回復により放牧に適した環境が継続したことなどから導入が他州に比べて進まなかったとされる一方で、比較的肥育期間が短いものでの出荷が進んだことによる飼養頭数の減少という見方もある。

図2 仕向け先別フィードロット飼養頭数の推移
資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」

●●●飼料穀物の安定的供給確保が課題●●●

 全般的に良好な天候が続いていることから、飼料穀物の安定供給に期待がかかる一方で、今後NSW州およびVIC州におけるフィードロット導入頭数の増加によって、飼料穀物への需要が急激に伸びることも予想され、飼料穀物価格の上昇懸念は以前ほど払拭されていない。また、一部の地域では、干ばつの影響も依然続いており、冬穀物の播種時期(4月〜8月)まで影響が続くのであれば、価格の上昇は免れず、フィードロット産業の収益面に不安が残る。


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