豪州の洗練された食肉専門小売店



ひとくちMemo

 豪州の食肉専門小売店といえば、スーパーマーケットを除けば昔ながらの「お肉屋さん」(Butcher)がほとんどだが、中にはオシャレな雰囲気が漂う非常に洗練されたお店もある。今回紹介するのは、メルボルン市内アルバート・パークの住宅地に立地する「POLKINGHORNES」という食肉専門小売店。扱う食肉はレッド・ミート(牛肉と羊肉)で、牛肉はグラスフェッドと豪州では一般的。牛肉を主体に説明すると以下の通り。

 生産者から直接消費者へ一番良いものを提供するという創始者の考えを踏襲し、一貫性のある安全で品質の良い商品づくりを志向。したがって、農場段階からの最高の品質提供を目指し、どのような仕組み(気候条件、牛の品質、部位の特性、飼料給与など)にするかに力点を置く。商品構成も、消費者の嗜好に合わせ、そのためには生産・処理加工段階から変えていく必要があり、その過程でトレーサビリティの重要性を認識しているとのこと。農場から供給チェーンを確立しており、商品の約 6 割を 1 つの農場から調達。

 また、ミート・スタンダード・オーストラリア(MSA:食味保証制度(消費者向け格付け制度))を利用し、料理方法に応じた格付けを目安としてお客さんに提供。

 ビクトリア州の州都メルボルンの住宅地域アルバート・パークの商店街に立地。場所柄、購買者層は高所得者が多く、共働きの可処分所得が高い若い層も。なお、アルバート・パークはF1豪州グランプリの開催地としても有名な公園。
ちょっと見た目には食肉専門小売店とは思えない店構え。
   店内の雰囲気も商品を見ないと「何を売るお店?」。繁忙時間は、天候にも左右されるが、午後4時30分から7時。



 ショウケースを見れば「お肉屋さん」であることが分かる。生鮮牛肉とひき肉のコーナー。やや高めのものが多いが、価格に見合った品質のものを提供するという方針。


 

 パストラミやビーフ・ベーコンなど加工品のコーナー。
 
 MSAグレードの見方を説明したポスター。MSAグレードで悪いものが出た場合(2つ星以下)は、ミンチやミートボールに加工。


 

 MSAのグレードと商品やその調理方法を示したこの店独自のパンフレット。
 
 レッド・ミートの一方の雄、羊肉(Lamb)コーナー。牛肉のコーナーに負けない品揃えだ。



 商品の中で気になったのが「Shumi」。モモ系やロイン系の部位をスライスした商品。カルパッチョで食べるのがお勧めとのこと。したがって、鮮度が大事。日本では不人気部位といわれるモモ系のシルバーサイドのものを試食させてもらったが、うまい!!


シドニー駐在員事務所 粂川俊一 井上敦司 


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