第3四半期の生乳生産量、今期初めて前年を上回る


◇絵でみる需給動向◇


●●●第3四半期生乳生産量は3.9%増●●●

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、豪州における2003/04年度の第3四半期(2003年1〜3月)の生乳生産量は、前年同期比3.9%増の244万1千キロリットルとなった。州別にみると、大部分の州で前年同期を上回った。生乳生産の9割が加工原料乳に仕向けられるビクトリア州(生乳生産量に占める割合63.4%)およびタスマニア州(同6.9%)では増加が著しく、同6.1%増の154万6千キロリットル、同9.1%増の16万8千キロリットルとなった。一方、飲用乳の仕向け率が高いクインズランド州では、同6.2%減の16万1千キロリットルと対照的な結果となったが、全国の生乳生産量に占める割合が20%と小さいため、全体の生産量への影響は少ない。    

図1 生乳生産量の推移
資料:DA

●●●乳製品生産量も増加●●●

 加工向け割合の高い地域で生乳生産量が増加したため、乳製品生産量は全粉乳を除くすべての品目で前年同期を上回った。中でも、脱脂粉乳の生産増は特に目立ち、同14.9%増の3万4千トンと大幅に増加した。また、チーズおよびバター(バターオイル含む)の生産量も、それぞれ同8.9%増の10万3千トン、同8.7%増の3万3千トンと高い水準を示した。

図2 第3四半期(1〜3月)乳製品生産量の比較
資料:ADC、DA「Quarterly Statistics」

●●●生乳生産量増は来年度に良い兆しを●●●

 DAは、生乳生産の増加がこのまま持続できれば、来年度の酪農経営の好転が期待できるとしている。乳製品の豪州国内販売量および販売額とも、近年の健康志向を背景に力強い需要の伸びをみせている。

 しかしながら、今年度は干ばつの影響により季節生産ピーク時の生乳生産量の落ち込みが激しく、第3四半期の増加は、年度全体の生産量を押し上げるほどには至らないとしている。DAは、2003/04年度の生乳生産量を前年度比2〜3%減の100億リットル前後を見込んでいる。

 酪農経営の環境は依然厳しく、長期の干ばつの影響で農家収入も低水準で推移し、農家が抱え込んだ多額の負債が積み上がっている。そのため、良好な天候が持続しているにもかかわらず、直ちに生産拡大に結びける酪農家の意欲も牛群再構築能力も不足しているのが現状とされている。



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