EUの乳用経産牛飼養頭数、減少傾向続く


◇絵でみる需給動向◇


●●●前年同期比1.2%減少●●●

 EU統計局(EUROSTAT)によると、2003年12月時点におけるEU12カ国(スペイン、オーストリア、ポルトガルを除く)の乳用経産牛の飼養頭数は、前年に比べて1.2%減の1,725万3千頭となった。EUにおける乳用経産牛の飼養頭数は、クオータ制度の導入、乳牛の能力の向上および酪農家戸数の減少などにより1990年代初めから減少傾向が続いている。

●●●ドイツ、フランスなど主要国で前年を下回る●●●

 乳用経産牛の飼養動向を国別にみると、イタリアやオランダなどでは前年並みであったが、EU最大の生乳生産国であるドイツでは前年に比べて0.9%減の433万3千頭と1996年以降減少が続いている。またドイツに次ぎ生産量が2位であるフランス、第3位のイギリスでも、それぞれ同2.8%減の401万2千頭、同1.1%減の220万6千頭と、主要生産国においては軒並み減少傾向となった。酪農家戸数は、小規模層を中心に減少しており、2001年のドイツやフランスの酪農家戸数は、1999年に比べそれぞれ13.7%減の132千戸、10.4%減の121千戸で、EU全体でも同8.0%減の689千戸となっている。また、各国における一戸当たりの飼養規模は拡大し、2001年のドイツでは1999年に比べ23.7%増の34.5頭、イギリスやデンマークではそれぞれ一戸当たり73.9頭、63.6頭とわが国における一戸当たりの飼養頭数37.3頭(2003年2月時点)と比べて約2倍の飼養規模となっている。

表1 国別経産牛飼養頭数

資料:EU統計局、畜産統計
注:1.各年12月時点の頭数、−は未公表。
  2.2003年の乳用経産牛飼養頭数は12カ国、酪農家数および1戸当たり飼養頭数は1999年、2001年の数値。

●●●1頭当たりの乳量は増加傾向●●●

 このように、乳用経産牛の飼養頭数の減少が続く中、2002年のEU15カ国における乳用経産牛1頭当たりの年間乳量は、前年に比べて1.1%増の6,061キログラムとなった。国別にみると、スウェーデンが昨年に引き続き最大で1頭当たり7,704キログラムであった。飼養規模が減少傾向にあるドイツやフランスでは、それぞれ前年に比べて0.8%増の6,229キログラム、0.2%増の6,001キログラムで、特にイギリスでは同7.5%増の6,766キログラムと生産性の向上が顕著であった。一方、アイルランドやギリシャでは、1頭当たりの年間乳量は4,000キログラム台とまだまだ各国により飼養管理技術などに大きな差があると考えられる。EUの酪農家など生乳生産現場においては、クオータ制度のもとで国際市場での競争力を高めるため、生産性の向上など酪農構造の変革がますます加速すると見込まれる。

表2 国別経産牛飼養頭数

資料:EU統計局、牛乳乳製品統計
注1:各年12月時点の頭数、−は未公表

 


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