家きん生産量、輸出量ともに回復傾向
アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は4月21〜22日、農牧アウトルックフォーラムを開催し、各畜種ごとの需給動向について2003年の総括および2004年の展望を公表した。鳥インフルエンザに起因する主要鶏肉輸出国の問題に加えて、数少ない清浄国であり、今後の展望が明るい同国の養鶏部門についての概要は次の通りである。
2003年の家きん肉生産量(可食処理ベース。骨付き)は処理羽数が2億7,670万羽と前年を6.4%上回ったことから、前年比5.6%増の70万9千トンとなった。輸出量(製品重量ベース、調製品および副産物を含む)は前年比33.1%増の6万1,500トンと過去最高を記録した。輸出相手先はチリ(27%)、中国(18%)、ドイツ(10%)、サウジアラビア(8%)などで占められた。
2004年第1四半期(1〜3月)についても処理羽数は前年比27.3%増の7,960万羽、生産量は同28.4%増の20万1千トン、輸出量は同48.9%増の2万800トンと経済危機の影響で減少した2002年から回復傾向にある。
また、2005年の生産量は過去最大となった2000年の90万トン強のレベルにまで回復し、その成長は2010年まで続き、同年には130万トンに達すると見込んでいる。
短期・中期見通しを目的に養鶏群に関するデータを収集
また、SAGPyAが2003年の主な業務として挙げたものに種鶏およびふ化業者登録制度(RENAVI)の加入促進がある。これは、肉用鶏(七面鳥を含む)の原種鶏および種鶏、採卵鶏の種鶏(以下「種鶏」とする)の繁殖、およびこれら種鶏から得られる卵のふ化に従事する生産者を対象としており、登録は無償、義務制となっている。
この制度を定めた決議(SAGPyA第79/2002号)は2002年7月1日に公示され、現在までに大規模経営を中心とした40業者の200施設(種鶏場およびふ化場)が登録されており、全国の養鶏施設の7割に相当するとみられる。
この登録制度は、鶏群に関して統計上、経営上の観点から必要とされるデータの収集を目的としており、収集された最新の情報を利用して、養鶏部門の短期・中期の見通しを立てることが可能となる。
RENAVIから得られる情報には以下のものがある。
・肉用鶏、採卵鶏の種鶏の系統繁殖に従事する種鶏場の数と位置
・肉用鶏、採卵鶏の卵のふ化場の数と位置
・種鶏場およびふ化場の生産能力
・雌雄それぞれの種鶏の年齢別(週齢)・系統別鶏群
・種卵の生産量
・国内、国外市場用の初生ひな(コマーシャル用肉用鶏および採卵鶏)の羽数
・ふ化率(%)など。
さらに、2004年は地方の中小の経営体にも登録を周知させ、制度のより充実を図ることとしている。
食品安全政策への活用にも期待
SAGPyAによると、これらの情報に基づいて、種鶏数、卵や初生ひなの市場供給量、需要量などについての推計や予測だけでなく、官民それぞれの部門にとって、衛生や技術などさまざまな問題に対する有効な解決、さらには食品安全政策といった目的に取り上げることも可能となるとしている。
今後アルゼンチン養鶏産業にとっては極めて有利な展開が見込まれるが、安定した経済政策と家畜衛生ステータスの維持が求められることから、登録制度の有効活用が期待される。
○牛枝肉格付制度を制定(ブラジル)
海外駐在員情報通巻第610号で既報した牛枝肉格付制度は、パブリックコメントが終了し、ロドリゲス農相が署名して5月4日に制定された。大きな変更点としては「全国の連邦検査型(SIF)施設での当制度の適用は、2004年12月31日までが任意、2005年1月1日以降が義務化」とされたことと、「同制度はブラジルが輸入国からの製品に対して行う要求事項となり、WTOの規則および関連法律に従うものとする」が削除されたことである。
なお、同農相は「適用期間を設けたことにより農務省は、その期間に得られる経験をもとに必要な調整を行うことができ、当制度の成功が妨げられることはない」と話している。
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