亜伯民間セクター、5月から伯産豚肉に最低価格を適用


ブラジル産豚肉の輸入増加問題について協議

 5月3日付けブラジル開発商工省のコミニュケによると、4月26日にブラジルおよびアルゼンチンの豚肉およびその加工品生産に関連する団体の代表者がリオデジャネイロに集まり、両国間で懸案となっていた豚肉の輸入増加問題について合意が得られたとしている。

 アルゼンチンでは91年に自国通貨ペソとドルを1対1で固定する通貨制度が導入されたためペソ高を招き安価な輸入豚肉が急増した。92年の輸入量(製品重量ベース。以下同じ)は、前年比約4倍の3万トンに達している。また96年〜2001年にかけて、主に加工向けとなる生鮮豚肉の輸入量の約6〜8割がブラジル産で占められており、99年1月にはブラジルが変動相場制へ移行したため実質的な通貨切り下げとなり、さらに価格競争力が高まっていった。これにより近年、安価なブラジル産豚肉が流入したことで、アルゼンチン養豚産業の競争力が次第に低下して行ったため、両国間であつれきを生んでいた(海外駐在員情報通巻第589号を参照)。

 アルゼンチン養豚協会(AAPP)のウチェリ会長によれば、この問題について民間セクターを中心に数回協議されており、アルゼンチン側は輸入枠を設定するよう要求してきたが、ブラジル側が拒否していたため、最低価格を設ける案が協議されてきたとのことである。

 ちなみにアルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)の統計によれば、2003年の生鮮豚肉の輸入量は、通貨切り下げによりペソ建ての豚肉価格が上昇したため輸入量が激減した前年の約2倍の35,585トンが輸入され、輸入額も約2.5倍の4,466万ドル(約50億円、1ドル=111円)と急増している。またそのうちブラジル産の輸入量は33,524トン、輸入額は4,269万ドル(約47億円)とともに約95%を占めている。

6部位に最低価格を設け5月1日から監視

 同コミニュケによる合意内容は、ブラジル産豚肉のハム加工用等6部位に対して枠による輸入制限は設けられなかったとだけ報じているため、協議の詳細について前述のウチェリ会長に確認したところ、「この協議の目的は、アルゼンチンおよびブラジルの生産者に悪影響を及ぼすことなく、かつアルゼンチンの生産部門が健全に成長することである。よってブラジルの生産者にも配慮し、輸入枠設定を強硬に主張する以前に最低価格によるコントロールを試みることが確認され、5月1日から6部位の輸入価格を監視することを民間セクター間で合意したところである。最低価格以下で輸出している業者に対してはブラジルの上位団体が指導することになり、また60日毎を目安に最低価格の見直しや問題点を検証することにもなっている。もしこのシステムが適切に稼動しなかった場合、輸入枠の設定について再度提案することになり、決して断念したわけではない」との回答であった。

 民間セクターで合意したこのシステムが今後適切に稼動していく。


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