ドゥルセデレチェ輸出促進計画を推進       ● アルゼンチン


海外市場への輸出拡大が目的

 ドゥルセデレチェ(牛乳を煮詰めたもの、英語名Milk Caramel:関税分類は1901.90類)は、牛乳と砂糖を原料としたアルゼンチンの伝統的な乳製品でケーキやアイスクリームなど製菓の原料として100年以上の歴史を持つ。現在、世界にはピーナッツバターやコンデンスミルクといった用途が同じでドゥルセデレチェと競合する製品がある。

 ドゥルセデレチェの生産量は99年に11万4千トンを記録したが、2000年以降は10万5千トン前後で推移している。2002年の1人当たり消費量は、2.76キログラムとなっている。輸出量は、97年の4,200トンから減少が続いたが、2000年の1,850トンを底に回復傾向にあり、2002年は2,147トンとなった。主要な輸出先は、シリア、米国、チリ、パラグアイ、イギリス、ウルグアイ、イスラエルで、全輸出量の8割を占めている。

 輸出量は生産量の約3%を占めるが、現在の2倍の輸出余力があるとみられており、また、国外での知名度が未だ低いため、アルゼンチン輸出振興財団(ExportAR)では、海外における市場拡大を目的とした調査を実施し、2004年5月中旬に「ドゥルセデレチェ輸出促進計画」と題した報告書を公表した。

官民一体となり段階を踏んで検討

 この輸出促進計画は、2003年3月にExportARおよびアルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)が、国立科学技術院(INTI)、酪農乳業技術研究センター(CITIL)、乳業メーカー15社とともに検討を開始し、官民一体となり策定された。

 計画を5段階に分け、それぞれの段階に検討テーマと期間を設け、各団体から選出された代表で構成されるワーキンググループによる調査が行われ、その結果を検証し、次の段階に進むという手法が取られた。それぞれの段階での概要は以下の通り。

 第1段階:主要輸出国における同様の製品の消費傾向、ドゥルセデレチェの代替製品の有無、それらとのすみ分けまたはニッチ市場の可能性などを調査、分析。

 第2段階:国内部門について、原材料、生産システム、各企業および産業全体の輸出余力、製品の品質などを調査し、強化すべきポイントを指摘。

 第3段階:第2段階の結果を踏まえ、輸出国別、製品別など製品の差別化に向けた取組みを検討。

 第4および5段階:ロゴマークやキャッチフレーズ、ウエブサイトなどの伝達ツールの確立、主要国ごとの販売計画や輸出手続きの確認。

今後は既存市場へのプロモーションが中心

 これらの分析により、ExportARでは「ドゥルセデレチェはアルゼンチンの伝統食品であるため、新規市場の開拓は難しく、むしろ、製品への関心が高く、輸出実績のある市場についての地図を作成し、各市場の商品化方式を調査し、消費動向を把握する」ことを提案している。

 2004年は検討結果に基づいたプロモーション活動として、海外でのフェアや商業ミッションの派遣、在外大使館での文化イベントなどが幅広く実施される予定となっている。

◎アルゼンチン、口蹄疫のステータス変更申請を延期

 現地報道によると、アルゼンチンは、国際獣疫事務局(OIE)に対して南緯42度以北の口蹄疫ワクチン接種清浄地域のステータス復帰申請を延期することを決定した。

 このことについて、農畜産品衛生事業団(SENASA)は、口蹄疫の最終発生から6カ月を経過して復帰をする際には、その期間中にウィルスの抗体が存在しないことがOIEの国際家畜衛生規約にあり、今回は合致しないためと回答している。

 


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