カナダのBSE発生から1年が経過


スペラー農相、関係者の労をねぎらう声明を発表

 カナダのスペラー農相は5月19日、アルバータ州でカナダ産の牛からBSEの発生が確認されてから1年が経過したとして声明を発表した。この声明の中で同相は、困難な状況の下で農業者がすばらしい力、自尊心、回復力を発揮したなどとして関係者のこの1年間の労をねぎらった。カナダの牛肉産業がBSEから立ち直るためには、可能な限り速やかに国境および市場の完全な解放を得ることが重要であるとし、特に米国への牛生体の貿易再開についてブッシュ大統領がこの問題を政治的にではなく、科学に基づき可能な限り速やかに解決したいとしたことに勇気付けられたとした。また、カナダ農務・農産食品省は、諸外国に対し、BSEの発生が確認された国に対する動物検疫措置を国際獣疫事務局(OIE)の定める国際基準に完全に整合させるよう働きかけていくとしている。カナダの農業者によるこの1年間の努力や辛抱が今後長年にわたり報われるであろうとしている。

カナダ牛肉生産者協会も声明を公表

 カナダ肉牛生産者協会(CCA)のスタン会長は5月21日、会員に対する書簡を公表した。同会長はこの一年はカナダの肉牛生産者にとってこれまでで最も困難な1年であったとした。また、カナダの主要な牛肉の輸出先であった米国およびメキシコがBSE発生国から30カ月未満の牛骨なし部分肉の輸入を解禁したのは、大きな成果であると評価した。そして、特にBSEの発生から今日まで牛肉産業に対して多大な支援をしているカナダ国民に対して謝意を述べている。また、今後も現状の困難から抜け出せるよう、米国への牛生体の輸出解禁などの目標に向けて努力を続けていくとしている。

USDAはカナダから輸入禁止肉の輸入を許可

 米国農務省(USDA)は5月21日、カナダからの牛肉の輸入許可制の下で輸入が禁止されているひき肉などが輸入されていた問題に関連し、記者会見を行った。

 USDAのムラノ次官は、ベネマン農務長官が昨年8月8日にカナダからの輸入を許可するとしたリストに含まれないにもかかわらず輸入が認められた牛肉などの総量は約730万ポンド(約3,311トン)であるとし、ワシントンポスト紙で報道された3,300万ポンド(約14,968トン)という数量については根拠が見当たらないとしている。その内訳については、ひき肉が約475ポンド(216キログラム)、タンなどの内臓肉が約150万ポンド(680トン)、発酵ソーセージやビーフジャーキーなどの加工品が約560万ポンド(2,542トン)であった。

 問題の製品は、すべて30カ月齢未満の牛由来の製品であり、輸入が認められている食肉の加工品もしくは非常にリスクの少ない製品であることを強調し、実質的なリスクへの暴露はほとんどないとしている。

 同記者会見でディヘイブン動植物検疫局長は、タンなどの内臓肉については米国内に市場がなく、その大半はカナダまたはメキシコに再輸出されたとした。

AMIはカナダ産牛肉の早期全面輸入解禁を支持

 アメリカ食肉協会(AMI)は5月24日、今回の問題は食品安全上の問題ではなく手続き上の問題であるとする声明を発表した。米国の食肉業界はカナダからの輸入の全面的な再開を支持しており、カナダ牛肉に対する過剰かつ科学的に不適切な中傷は即中止すべきであるとしている。


元のページに戻る