干ばつの緩和で牛群再構築へ


◇絵でみる需給動向◇


●●●牛群再構築の傾向が顕在化●●●

 豪州農業資源経済局(ABARE)によると、2003/04年度(7月〜6月)における肉牛と畜頭数は、前年度を6%下回る869万9千頭となる見込みとなった。干ばつの緩和を背景に、農家が牛群の再構築を志向し始めたことから、肉牛のと畜が抑制されたものとみられる。

 一方で、飼養頭数も減少しており、2003/04年度の飼養頭数は、前年度比5%減の26万5千頭となると見込まれている。酪農家の牛群再構築の努力にもかかわらず、干ばつの長期化が影響して、経産牛の栄養状態が悪化し、子牛の出生率が伸び悩んだことが要因とされている。

●●●管理技術の進歩により事故率は減少●●●

 しかしながら、死亡牛の割合は、近年の飼養管理の向上などもあって、減少している。2002/03年度は干ばつの影響もあって、確かに前年度比でみると、死亡率は上昇しているものの、過去に記録的な大干ばつが発生した82/83年度と比較すると、わずか1/2程度の割合にすぎない。このことは、近年の品種改良や牛群管理の効率化、衛生管理の強化などが、効果的に働いていることを示している。

●●●農家の経済的な負担も改善の方向へ●●●

 農家の経済的な負担は、依然赤字経営が続いているものの、赤字幅は縮小している。2003/04年度の農家の当期純損益は、前年度比66.7%減のマイナス14,000豪ドル(マイナス112万円、1豪ドル=80円)を見込んでいる。飼養頭数およびと畜頭数の減少により現金収入は伸び悩むものの、干ばつの緩和を背景に牧草および穀物の生育状況が改善したことから、飼料コストの負担が圧縮され、現金支出の縮小をもたらしたものとみられる。

 こうしたことから、ABAREは、あと3〜4年で干ばつ以前の水準にまで飼養頭数が回復するであろうと予測している。


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