価格は回復基調、生産量は低調に推移


◇絵でみる需給動向◇


●●●生産量は低調で推移●●●

 タイ農業協同組合省によると、4月のブロイラー生産量は3月同様3千7百万羽と、前年同月比56%減の低い水準で推移しており、鳥インフルエンザ発生による影響が継続している。グランドペアレントストック(GP)の輸入は2月以降停止しているものの、ペアレントストック(PS)の輸入は4月に再開されており、前年同期比78%減の2万6千羽が輸入された。

 なお、ブロイラー用初生ひなのふ化羽数は生産量同様に2月に前年同期を下回った後、3〜4月は前年同期比56%減で推移している。

●●●価格は回復の兆し●●●

 生産量が低調に推移する一方で2月に最低水準に落ち込んだブロイラー価格は3月以降回復している。

 バンコク市場生体卸売価格は2月に最低水準の1キログラム当たり14.2バーツ(38円:1バーツ=2.7円)を記録した後3月には26.4バーツ(71円)まで回復し、4月には前年同月比12%増の30.1バーツ(81円)となっている。なお同市場におけると体中抜きの卸売価格、小売価格はともに、年明け以降前年同月を上回って推移した。4月の鶏肉卸売価格は前年同月比20%増の同44.8バーツ(121円)、また、鶏肉小売価格は同22%増の53.8バーツ(145円)となった。

●●●7月初旬より鳥インフルエンザ再発●●●

 2004年の年明け後、世界各地で発生が確認され、一時的に終息の気配を見せていた鳥インフルエンザであるが、6月下旬にベトナム南部ホーチミン市周辺で再発生が確認されたのを皮切りに東南アジア各地で再発生が報告されている。タイでは7月7日に中部アユタヤ県とその周辺採卵鶏農場で再発生が国際獣疫事務局(OIE)に報告されたのを初めとして、その後全国各地で発生が報告され、8月中旬現在も終息に至っていない。

 このような状況の中、EUは7月26日に、現在実施しているアジアにおける発生地域9カ国からの鶏肉製品および愛玩用生体鳥類の輸入禁止措置を、12月中旬まで延長する旨の発表を行った。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のうち対象国はタイ、インドネシア、ベトナム、ラオス、カンボジアの5カ国となっている。

 また、7月中旬の同国畜産開発局長のコメントによると、最近タイ産鶏肉の輸入量を増やしている韓国が、加熱調製品の衛生検査を強化したため生産者にとってさらなるコスト増大を招いているとされた。

 このように輸入国からの輸入停止措置が長引くことが避けられない状況で、同国大手生産者のサハ・ファーム社は同社の一部の工場が輸入国による衛生条件に関する認可を受けていないため、輸出用鶏肉を国内市場に低価格で供給し始めている。しかし国内消費者にとっては高額な価格であるため今のところ販売は伸びていない。


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