豪州およびニュージーランドの酪農産業比較


◇絵でみる需給動向◇


●●●酪農家戸数の減少および規模拡大●●●

 豪州の酪農家にとって、隣国であり乳製品輸出世界第2位の地位を占めるニュージランド(NZ)に対する関心は非常に高い。豪州農業資源経済局(ABARE)がこのほど公表したレポートでは、豪州及びNZの生産性および経済性の観点から、両国の酪農産業構造の比較対照を試みている。

 同レポートによると、過去20年間で酪農家戸数は減少し、一戸当たりの飼養頭数が増加する状況は豪州およびNZともに共通事項であるとしている。酪農戸数は、小規模経営の離農が続く中、依然として減少傾向に歯止めがかからない。2002/03年度の酪農戸数は、過去20年前と比較して、それぞれ50%、20%程度の大幅な減少となっている。しかし、過去20年間の牛群規模でみると、両国ともに2倍近く増加している。

 生産性の向上も目覚しい。品種改良、技術革新などが効を奏し、生産性は豪州およびNZともに、20年前と比較して2割以上向上している。その結果、生乳生産量は2倍近く伸びた。

●●●飼養形態の相違が経営に反映●●●

 しかし、豪州およびNZ酪農産業の物理面、経済面から分析すると、産業構造の本質的な違いが浮き彫りとなる。豪州における乳牛の育成は、放牧を中心とししつつも、一部飼料で補完していることから、NZと比べ一頭当たりの搾乳量は多いものの、一頭当たりの飼料コストが2倍となっている。一方、NZは乳牛の育成を放牧に依存している割合が非常に高く、その分肥料代が高いものの、全体の農家コストは豪州より低い。したがって、豪州は飼料価格の変動により経営を左右されやすい産業構造となっていることが明らかとなっている。



●●●仕向け先の違いは収入にも影響●●●

 生乳の仕向け先にも、両者の間で違いがみられる。NZは乳製品の96%以上を輸出に振り向けていることから、生産者価格は為替変動や国際価格の変化に影響されやすい。特に近年では、国際価格の高騰から輸出に振向が強まっている。一方、豪州も輸出依存度は高いものの、国内のマーケットの規模がNZに比べ大きいことから、生産者価格の変動幅が比較的少なくなっている。


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