ニュージーランド酪農家の現状


◇絵でみる需給動向◇


●●●農林省がモデル酪農家を算出●●●

 ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)はこのほど、酪農モニター報告を公表した。このレポートは、MAFが全国酪農家のサンプルをモニターして、各地域ごとにモデルとなる平均的な酪農家を算出し、2003/04年度の酪農家の経営状況を示したものである。概要は以下のとおりである。

 北島のモデルとなる酪農家は、1頭当たり273キログラム(乳固形分換算、以下同じ)の生乳を生産し、平均飼養頭数は235頭でヘクタール当たりの飼養頭数は2.1頭となっている。経営形態は、家族経営を基本とし、自己資本率は85%、金利支払は総支出の8%となっている。

 一方、南島のモデル酪農家は、1頭当たり364キログラムの生乳を生産し、平均455頭でヘクタール当たりの飼養頭数は2.7頭となっている。また、農場面積は、95/96年度と比較すると24.6%増の162ヘクタールとなっており、規模拡大の傾向がより鮮明に表れている。

●●●牧草の生育状況が体力面に影響●●●

 酪農家の体力面を比較すると、北島と南島で対照的な結果となった。北島では、不安定な冬から春にかけての気候状況により(6月〜11月)、生乳生産ピーク時における牧草の生育状況が芳しくなかった。牧草成長率は年度平均30〜50%程度にすぎない。その結果、2003/04年度の生乳生産量は前年同期比6%〜20%程度減少となっている。また、夏から秋にかけて断続的な乾そう気候に見舞われたため、牧草の生育が例年に比べて遅れており、今シーズンに間に合うかどうか懸念されている。

 一方で,南島は全般的に穏やかなシーズンを迎え、牧草の生育状況も良好であった。しかし、一部地域で記録的な降雨を記録し、牧草の生育状態の遅れが目立った地域もあった。乳牛の状態は例年以上に良好で、搾乳ペースも一日1度と一般的な水準にあった。記録的な降雨に見舞われた地域では、生乳の品質を維持するため、一日2度の搾乳を迫られた農家もあったとしている。


                                     (豪ドル)

●●●経営の効率性の相違が鮮明に●●●

 2003/04年度におけるモデル酪農家の現金収入は、生産者乳価の上昇を背景に、北島、南島ともに増加しており、北島は27万NZドル(約1,971万円、1NZドル=73円)とほぼ前年並みにとどまったものの、南島は前年比5.0%増の68万NZドル(約4,964万円)となった。また、現金支出については、北島が同5.0%増の16万NZドル(約1,168万円)であったのに対し、北島は飼料コストの圧縮に成功したことから、同6.6%減の41万NZドル(約2,993万円)となっている。その結果、当期純損益は、北島9万NZドル(約657万円)、南島13万NZドル(約949万円)となっている。


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