豚肉需給情報交換会合が開催
欧州委員会、日本の農林水産省それぞれの担当者による豚肉の需給動向などに関する情報交換会合が、7月8日ブリュッセルで開催された。
日本側からは、米国での牛海綿状脳症(BSE)や日本国内外での鳥インフルエンザの発生といった特殊要因による影響を含む、日本における豚肉の需給動向の説明が行われた。
その後、日本における将来の豚肉生産の見通しなどについて出席者による意見交換が行われた。
EUの需給は安定、価格は上昇
欧州委員会から説明のあったEUの豚肉の需給動向などは次の通り。
(1) 消費は拡大
2004年の豚肉の年間1人当たり消費量は、新規加盟10カ国(NMS10)平均が47.6キログラムと見込まれ、既存の加盟15カ国(EU15)(平均43.7キログラム)を上回る。この傾向は2005年も同様で、NMS10では前年に比べ2.6%増の48.8キログラム、EU15では1.5%増の44.4キログラムと予測。
(2) 生産も拡大
2004年の豚肉生産はEU15で見ると前年に比べ0.4%増加と予測。ただし、加盟国によりばらつきがあり、オランダ、イギリス、ベルギー、アイルランドなどは減少するものの、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ギリシャなどでは増加。
中期的に見た場合、EU15では消費の伸びと平行して、生産も拡大。
なお、NMS10での生産は加盟後2年間は減少すると見込まれ、消費量の増加から今後5〜6年間はEU15からNMS10への豚肉輸出量が増加と予測。
(3) 輸出
2003年のEU15の豚肉輸出において、数量ではロシア向けの輸出(全体の19.1%)が最大であったが、金額では、日本向け(同36.2%)が最大。
なお、ロシアが要求しているEU産畜産物のEU加盟各国における衛生証明書の一本化を受け入れることは現行の規則などから困難であること、この問題について交渉期限である9月末までに合意すべくEUとロシア間で精力的に議論を実施中。
(4) 卸売価格(市場参考価格)
2002年、2003年は低水準で推移。このような状況を踏まえ昨年12月には民間在庫補助(APS)を実施。さらに本年1月から3月中旬までは豚枝肉などへの輸出補助金の交付を実施。このような施策が奏功し価格は改善。ただし、最近の急激な価格の上昇は、昨年夏の猛暑による生産の減少と、豚肉需要と輸出増加によるもの。
EU15の市場価格は、7〜9月の第3四半期が100キログラム当たり145.99ユーロ(約1万9,700円、1ユーロ135円)、10〜12月の第4四半期が同134.11ユーロ(約1万8,100円)と見込まれ、2004年平均では同135.95ユーロ(約1万8,400円)と前年の平均同127.3ユーロ(約1万7,
200円)を上回ると予測。
なお、2005年の第1四半期の価格は同131ユーロ(約1万7,700円)程度と予測。
(5) 共通農業政策(CAP)改革の影響
CAP改革により、肉用牛、酪農分野への支援が弱まることから、今後、牛肉の生産量が減少し、価格の上昇が見込まれ、また、この影響から豚肉および鶏肉の生産が若干拡大するとともに価格についても若干上昇すると予測。
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