サーベイランス調査でBSE疑陽性家畜発見   ● 米 国


疑陽性の家畜は、食品チェーンから除外され、その枝肉も保留

 米国農務省(USDA)は6月25日、強化されたBSEサーベイランス調査で用いられているスクリーニング検査(Rapid Screening Test)において、BSE陽性が疑われる検査結果の報告を受けたと発表した。この組織サンプルは、確定分析のためアイオワ州の連邦獣医局検査施設(NVSL)に送られたが、検査結果が得られるまで4から7日を要するとした。一方、BSE陽性が疑われる家畜の枝肉は、食品連鎖には混入しておらず保留されている。USDAでは今回の確定診断結果が得られるまでは、この家畜に関する詳細な情報は一切公表しないとしている。USDA動植物検査局(APHIS)のクリフォード獣医師は、「2つの特有のポイントがあるとし、1つ目は、このような検査結果が出ることはまったく予期されていないことではないということである。スクリーニング検査では陽性かどうか敏感に反応するように設定されているからである。その後の検査で陰性となることもある。2つ目として、確定診断結果が陽性であろうとなかろうと、米国牛肉供給の安全性の信頼度は確保されているということである。」と述べた。

スクリーニング検査における2例目の疑陽性報告を発表

 USDAは6月29日、スクリーニング検査における2例目の疑陽性家畜の報告を受けたと発表した。25日に発表された時と同様、組織サンプルがNVSLに送られ確定診断を行い、結果まで4から7日要することなどを発表するにとどめ、当該家畜に関する詳細な情報は公表しなかった。また、1例目の事例については、現時点ではまだ確認中であるとした。

1例目は「陰性」と発表

 USDAは30日、25日に報告された1例目の疑陽性の事例については、NVSLにおける確定診断の結果、「陰性」であったと発表した。確定診断は国際的に認定されている免疫組織化学的検査(IHC)を用いて行われたとし、当該事例は「陰性」であったことから、これらに関する家畜などの詳細情報は公表しないと述べた。なお、サーベイランス結果の公表についてはウエブサイトを通じて定期的に報告する予定であるとしている。一方、29日に発表した2例目の事例については、現在確認中であるとし確定までには4から7日を要するとした。また、USDAは、現在行われているワーキンググループによる日米協議への影響はないとした。

今回のケースに対し、各業界団体がコメントを発表

 肉用牛生産者団体の全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は25日、スクリーニング検査で疑陽性の結果が出たということやNVSLで確定診断が行われることなどを述べる一方で、当該家畜が食品チェーンに入らないことや特定危険部位(SRM)除去が適切に行われていることを強調した。また、米国の肉牛生産者にとって、常に安全な牛肉を提供することが我々の最優先課題であるとした。食肉パッカーの団体であるアメリカ食肉協議会(AMI)のボイル会長は26日、USDAの発表を引用する形でコメントを発表し、会員に対しては可能な限り係る情報の提供を行うことにすると述べるとともに、USDAからこの様な発表があることは、強化されたサーベイランス調査が適切に執行されている結果であるとした。更に米国食肉輸出連合会(USMEF)のセング会長は、USDAの発表は意外なことではないとし、診断結果がどちらであろうとも米国牛肉の安全性は確保されるとした。また、米国乳製品輸出協会(USDEC)も27日、科学的見地から牛乳および乳製品からBSEに感染することはないとし、牛乳・乳製品は安全であることを強調している。

2例目のケースも「陰性」と発表

 USDA/APHISは7月2日、6月29日に疑陽性事例として報告された2例目について、アイオワ州のNVSLでのIHC検査の結果「陰性」であったと発表した。なお、当該結果が「陰性」であったことから、1例目同様、家畜などに関する詳細情報は公表されなかった。

USDA/APHIS、疑陽性事例の公表基準を変更

 USDA/APHISは8月2日、6月から開始した強化されたBSE検査の状況を踏まえ、これまでスクリーニング検査において1回でも「陽性」反応が出た場合、これを疑陽性事例として公表してきたが、今後は2回の検査でいずれも「陽性」反応が出た場合、疑陽性事例として公表する方法に改めると発表した。6月下旬の2回の疑陽性事例の発生に対して市場が敏感な反応を示したことなどから、業界関係者からUSDAに疑陽性事例の公表の方法について検討すべきとの声が上がっていた。


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