豚飼養頭数、減少傾向に歯止め


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年6月の豚飼養頭数センサス、前年比0.1%増 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)はこのほど、2005年6月時点のEU25カ国の豚飼養頭数センサスを公表した。これによると、豚総飼養頭数は前年比0.1%増の1億5,135万頭となり、肉豚生産の基となる豚飼養頭数が安定して推移していることがうかがえるものとなった。EUではBSEの発生による牛肉の代替需要から豚肉生産が拡大した結果、生産農家の収益性が悪化し豚飼養頭数の減少傾向が続いていたが、今回のセンサス結果はこれに歯止めが掛かりつつあることを示していると言える。

 飼養状況を種類別に見ると、繁殖用雌豚は前年比0.1%増の1,491万頭とわずかな増加にとどまったものの、妊娠豚は同3.5%増の190万頭とその増加率はすべてのカテゴリーの中で最も大きくなっており、EUの豚飼養頭数は今後も増加するものとみられる。

EUの豚飼養状況(2005年6月時点)

資料:MLC

 

● ● ● ほとんどの主要国は減少傾向、カギを握るドイツ ● ● ●

 今回のセンサスでは一部加盟国の区分別飼養頭数が明らかにされていないが、国別に見ると、EU15カ国では第1位のドイツが前年比4.7%増の2,682万頭と増加したほかは、スペイン、フランス、デンマークおよびオランダの第5位までの国が前年並みかもしくはわずかに減少した。MLCは、ドイツの増加率が最も大きく伸びた理由として国内の豚飼養技術および疾病対策が向上したことを挙げているが、今回はほとんどの国における飼養頭数の減少分をドイツが補ったことになり、同国の飼養動向がEU全体に与える影響は大きいものとなっている。

 

● ● ● 新規加盟国は上位3カ国が軒並み減少 ● ● ●

 一方、新規加盟国(NMS)の飼養動向を見ると、ポーランド、ハンガリーおよびチェコの上位3カ国がいずれも減少している。NMSにおける豚飼養頭数が最大でありEU25カ国の中でも第3位のポーランドは前年比1.2%減の1,700万頭とわずかな減少にとどまったものの、第2位のハンガリーは同8.7%減の392万頭、第3位のチェコは同8.0%減の288万頭とかなりの程度減少している。MLCは、ハンガリーおよびチェコの飼養頭数が増加する要素はほとんど見られないものの、ポーランドについては繁殖雌豚および妊娠豚の頭数が大きく増加していることから、今後の頭数増加が期待できるとしている。


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