最近の生体牛輸出動向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年1月の生体牛輸出は4カ月連続の減少に ● ● ●

 豪州の生体牛輸出はこのところ減少傾向で推移している。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2005年1月の生体牛輸出頭数は、前年同月比9.1%減少の4万9千頭と4カ月連続して減少となった。同月の輸出額については、3,800万豪ドル(32億3千万円:1 豪ドル=85円)と前年同月を10%下回り、1頭当たりの平均輸出単価も782豪ドル(6万6千円)と前年同月より5豪ドル(425円)の安値となっている。豪州の生体牛輸出は、2002/03年度の干ばつで多くの肉牛生産者が出荷を急いだことから、2002年には過去最高水準の輸出頭数を記録したが、この結果、国内の飼養頭数を減少させた。MLAでは、1 月の生体牛輸出減少の要因として、飼養頭数が回復に至らない中での最近の牛肉需給に伴う成牛価格の高騰などを挙げている。

 

● ● ● 日本向け輸出は91.0%の増加 ● ● ●

 輸出頭数を仕向け先別に見ると、中国およびヨルダンで前年同月比70〜90%減と大幅に頭数を減らしたが、輸出頭数の上位を占めるインドネシア向けが前年同月比3.0%増の2万9千頭、前年同月は輸出実績がなかったイスラエル向けが1万426頭と増加したことから、二ケタ台の落ち込みは何とか免れた。

 一方、日本向けの輸出は、前年同月比91.0%増の3,067頭を記録し、2003年10月以来の高い水準となった。豪州から日本への生体牛輸出頭数は、ここ最近、1,200〜1,500頭前後で推移していたが、MLAでは増加の要因として、2005年から日本の検疫所の収容可能頭数が20,000〜25,000へと拡大したことを挙げており、これが前年同月の2倍の水準にまで頭数を増やしたとしている。なお、日本向けの生体牛輸出の太宗は肥育牛であり、乳用牛は185頭にとどまっている。

豪州生体牛輸出の推移
資料:MLA


● ● ● 大幅な減少となった2004年の生体牛輸出 ● ● ●

 2005年の生体牛輸出が低迷でスタートする中、2004年の生体牛輸出実績は、98年以来の低い水準であった。MLAによると、2004年の生体牛輸出頭数は前年比で17.7%減の63万7千頭と、前年の77万4千頭から14万頭もの減少となった。減少の要因としてMLAは、前述の成牛価格の高騰に加え、主要通貨に対して豪ドル高で推移した為替相場、船舶需要の増加に伴う船賃価格の高騰、フローズンビーフとの競争激化など、生体牛輸出に不利な条件が折り重なったことを挙げている。

 仕向け先別にみると、品種改良などを目的に乳用牛の輸入を拡大する中国が前年比67.5%増の7万4千頭、また、ヨルダンが同48.1%増の3万4千頭とそれぞれ大きく増加したが、これらを除いた主な市場のすべてが減少に転じており、減少幅を縮小させるには至らなかった。特に2003年に第2位の輸出実績を記録したフィリピン向けが、前年比51.1%減の4万7千頭、同じく第3位のマレーシア向けが同45.9%減の4万8千頭と、共に前年と比べて半減したのが響いている。

 MLAでは、今後の生体牛輸出について、成牛価格が引き続き高水準にあることから、早急な回復は難しいとみている。


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