● ● ● 生乳生産の回復で乳製品輸出は上昇に転じる ● ● ●
ニュージーランド(NZ)統計局(StatsNZ)によると、2005年1月の主要乳製品輸出量(バター、脱脂粉乳、全粉乳、チーズ)は前年同月比4.8%増の14万トンと、6カ月ぶりに上昇に転じた。これは、低温多雨などによる放牧の遅れから落ち込んでいた生乳生産が、最近の気象状況の回復を受けて増加に転じていることが最大の要因となっている。
輸出構成を品目別に見ると、バターが前年同月比26.4%増の3万トン、チーズが同20.5%増の2万8千トンと、この2品目が輸出量の増加に大きく寄与した。一方、脱脂粉乳と全粉乳は、共に前年同月比で減少となり、脱脂粉乳が5.3%減の2万6千トン、全粉乳が5.2%減の5万7千トンと、バターやチーズとは対照的な結果になっている。
主要乳製品の輸出額についても、年明けからNZドルが米ドルに対して下落に転じたことから輸出とって有利に働き、1 月は前年同月比で16.8%増の4億4,333万NZドル(約346億円:1NZドル=78円)と、6 カ月ぶりに上昇に転じるとともに、すべての品目で前年同月実績を上回った。特にバターが前年同月比42.2%増の8,343万NZドル(約65億円)、チーズが同31.4%増の1億1,251万NZドル(約88億円)と2品目の増加率が際立っている。また、脱脂粉乳、全粉乳もそれぞれ、同4.2%増の7,555万NZドル(約59億円)、同5.5%増の1億7,184万NZドル(約134億円)となっている。
● ● ● 輸出単価、輸出価格指数ともに上昇 ● ● ●
これら主要乳製品の輸出単価は、2004年前半まで一進一退が続いていたものの、2004年後半に入り乳製品の国際需給がひっ迫傾向に転じたことからすべての品目で上昇し、現在まで高水準で推移している。価格上昇の背景として、乳製品の主要輸出国であるNZの2004年の生乳生産が減少傾向で推移したことから、これに伴う乳製品生産に影響が出たことも挙げられる。
StatsNZによると、2005年1月のトン当たりの輸出単価は、バターで前年同月比12.5%高の2.81NZドル(219円)、脱脂粉乳で同10.0%高の2.95NZドル(230円)、全粉乳で同11.2%高の3.00NZドル(234円)、チーズで9.1%高の4.03NZドル(314円)となっており、特にバターについては16カ月連続で上昇が続いている。
● ● ● 1月の乳製品輸出市況 ● ● ●
乳製品価格の国際指標となるEUの乳製品国際価格は、1月に入りスマトラ島沖地震に対する国際緊急援助活動の影響で一時持ち直したものの、下旬にかけてほぼすべての品目で下落に転じた。調査機関によると、EU産のバターの最大級の需要者であるロシアで、国内需要が一段落したことなどから、市場では国際的な乳製品需要は後退局面に入ったとの見方もあるとしている。
一方、オセアニアのスポット価格は、引き続き中東諸国や東南アジアなどの需要を受けて値上がりが続いており、いくつかの品目ではEUの水準を上回って推移している。EUの乳製品供給量は、今後、域内中心へと変化が予測されることから輸出量は減少との見方もあり、一方、乳製品の最大輸出国であるNZでは、生乳生産回復の遅れから乳製品生産の減少が懸念されるため、国際市場への供給量は低下が避けられないとの声もある。今後の需給動向が注目される。
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