2005年のラム肉輸出、好調な滑り出し ● 豪 州


1〜3月の輸出量は過去最高の水準

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は先ごろ、2005年3月のラム肉輸出量を発表した。これによると、輸出量は前年同期比10%増の1万2,800トン(と体重量ベース、以下同じ)となり、1 〜3月の第一四半期では3万2,100トンと過去最高の輸出水準を維持している。米ドルなど主要通貨に対して豪ドル高で推移する最近の為替動向をしり目に、強い需要に支えられ2005年のラム肉輸出は好調に滑り出した。

 豪州のラム肉輸出は、2001年末の米国での豪州・ニュージーランド(NZ)産ラム肉に対する輸入制限措置の撤廃や、海外市場での急速な需要の高まりを受けて輸出規模が拡大しており、2004年の輸出量は11万1,600トン(枝肉重量ベース、以下同じ)と、2000年の11万1,900トンに次ぐ数量を記録している。



米国、中国向けなどを中心に増加

 第一四半期のラム肉の輸出を仕向け先別に見ると、豪州最大の輸出市場である米国向けは、復活祭前のラム肉需要などを背景に、前年同期比17%増の1万400トンと大きな増加をみせた。米国向け輸出は、2004年に3万2千トンを記録しており、同年の豪州産からのラム肉輸出量全体の22%を占めている。

 アジア向けでは、米国に次ぐ輸出先となった中国向けが、冷凍品や低級部位を中心に需要が高まり、2月は前年同期比43%増の3,400トンとなった。中国では、経済発展に伴う食肉需要の高まりなどから、ラム肉などの市場規模が急速に拡大しており、2004年の輸出量は前年比44%増となる9,370トンの輸出を記録している。また、2004年に前年比30%増の7,234トンの輸出を記録した日本向けは、前年並みの1,640トンと小幅な動きにとどまった。

 これらの国々とは対照的に2月のEU向けは、関税割当枠の範囲内で、輸出が好調なラム肉からマトン肉へと切り替えられたことから、前年同期比27%減の2,500トンへと減少した。現在、豪州とEUとの間では、羊肉輸出に関して毎年18万7千トン、NZとEUとの間では22万7千トンの関税割当枠が認められている。



生産量は上向きとの予測、価格は下げ基調

 このような中、豪州国内の生産状況については、引き続き増加との見通しが出ている。豪州農業資源観測局(ABARE)が先ごろ発表したラムに関する生産見通しによれば、米国などの強い輸出需要を受けてラム肉の生産量は年々増加し、2004/05年度(04年7月〜05年6月)には35万トン、5 年後の2009/10年度には42万2千トンに達するとしている。

 一方、生体価格については、飼養頭数の増加に伴い流通量が増える分、若干の下げに転じるとしており、2004/05年度のキログラム当り355セント(302円、1豪セント=0.85円)から2009/10年度には同330セント(277円)程度まで緩やかに下がるとみている。

ラム肉の生産量生体価格、の見通し(豪州)
資料:ABARE 「Australian Commodities」


候要因によりNZの輸出量は減少

 一方、同じくラム肉の主要輸出国の一つであるNZでは、豪州とは対照的に厳しいスタートとなった。2005年1〜2月のラム肉合計輸出量は5万7,800トンと前年同期比6%の減少した。この時期、米国などでの復活祭を控え、NZ国内のラムの出荷量は増加するが、肉羊生産地帯での長引く降雨の影響によるラムの出荷制限が伝えられており、これが思わぬ減産要因となった。

 しかしながら、2004年(03年10月〜04年9月:畜産物統計年度)のNZのラム肉輸出量は、35万8千トン(前年比0.2%減)を記録しており、上昇基調で推移する価格や輸出需要増などを背景に、90年以降、ラム肉の輸出量はおおむね増加傾向となっている。


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