● ● ● 日本向け輸出、6月以降、3ヵ月連続で前年同月を下回る ● ● ●2003年12月の米国におけるBSE発生に伴う日本の米国産牛肉の輸入一時停止措置により、順調に輸出量を伸ばしていた日本向け牛肉輸出は、2005年6月以降3ヵ月連続で前年同月実績を下回った。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、8月の日本向け牛肉輸出量は前年同月比1%の減の30,378トンとなり、前月の7月に比べて14%減少となった。この要因として、日本の国内消費の低迷による在庫積み増しなどが挙げられており、日本の輸入業者が買い控えをしたことが、輸出量の減少につながったとみられている。また、豪州国内での肉牛価格の高騰もこれを後押ししている。 牛肉輸出量の推移(2005年1〜8月)
● ● ● 韓国向け輸出は、中秋節需要を控え大幅に増加 ● ● ●一方、日本、米国に次ぐ豪州産牛肉の輸出先である韓国向けは、2005年4〜6月にかけて、豪州産牛肉の急激な輸入増に伴う在庫積み増しや、米国との牛肉輸入再開協議に伴う買い控えの動きがあったことから、輸出は減少傾向にあった。しかし、米国で2例目のBSE感染牛が確認されたことで、輸出再開は先送りとの見方が強まり、また9月中旬の中秋節向けの高級牛肉需要増の影響もあり、8月の韓国向け牛肉輸出量は、前年同月比85%増の12,230トン、前月比でも57%増と著しい伸びを見せた。特に穀物肥育牛肉は、前年同月比276%増の3,197トンに上った。 日本・韓国向け月別輸出量の比較
● ● ● 肉高水準で推移する肉牛価格、今後の輸出に影響も ● ● ●豪州の牛肉輸出に影響を与える国内の肉牛価格は、依然として高水準となっている。肉牛市場取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標価格(EYCI)によると、6月以降、市場への出荷頭数減少を受けて高価格で推移しており、8月に入り1キログラム当たり400豪セント(352円:1豪セント=0.88円、枝肉重量ベース)台が続くなど過去最高水準となっている。MLAでは、肉牛供給頭数の減少と高まる肉牛需要を要因として挙げており、これが価格を記録的な水準まで押し上げたとしている。9月に入り牛肉処理・加工業者の一部では、原料高、輸出低迷による経営への影響を軽減するため、稼働率の向上を目的とした薄利多売に動くなど、一定の輸出量確保に向けた動きもあり、肉牛への需要は依然として続いている。肉牛価格は、市場への供給量が増加する10月下旬以降まで、下げ基調にないとみられている。 |
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