フランスの牛飼養頭数、牛肉生産量は減少局面に


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年5月の牛飼養頭数は前年比0.9%減の1,938万頭 ● ● ●

 フランスはEUの中でも最大の牛飼養頭数を誇り、同国の肉用牛産業の動向を把握することは今後のEUの牛肉需給を考える上で重要となっている。

 フランス農業漁業省統計局(AGRESTE)によると、2005年5月センサスの牛飼養頭数は前年比0.9%減の1,938万頭とわずかに減少した。これをカテゴリー別に見ると、肉用経産牛は405万頭と前年比で0.5%の減少にとどまったのに対し、乳用経産牛は共通農業政策(CAP)改革による生乳生産割当(クオーター)制度を維持するための牛群の調整が進んだことから同1.4%減の374万頭と減少幅はより大きくなった。同様に、乳用未経産牛頭数も同5.2%減の223万頭と全カテゴリーの中で最も減少率が高くなっていることから、AGRESTEは、来年の乳用種頭数はさらに減少に向かうものと予測している。

フランスの牛飼養頭数

資料:AGRESTE
注:各年5月時点の頭数


● ● ● 2005年のと畜頭数は前年比3%減の660万頭と予測 ● ● ●

 また、AGRESTEは、2005年上半期における同国の牛と畜頭数は前年同期と比較して2%減少したと発表した。その中でも、乳用経産牛は同9%減とかなり大きく減少し、低迷していた経産牛価格の上昇(約3%)に寄与したとしている。さらに、2005年下半期のと畜頭数も前年同期を1%下回ると予測しており、2005年の通年のと畜頭数は前年比3%減の660万頭になるとしている。

 なお、フランスで減少が見込まれる660万頭は、欧州委員会が先に予測した同年におけるドイツの牛と畜頭数の約1.5倍に相当する。ドイツはフランスに次ぐ牛肉生産国であり、両国でEU全体の牛肉生産量の約4割を占める。


● ● ● 国内生産の減少で輸入が増加 ● ● ●

 このように国内の牛飼養頭数および牛肉生産が減少したことにより、輸入量は増加基調にある。フランス関税局が公表した同国の牛および牛肉の輸入動向について見ると、2005年上半期の生体牛は前年同期比2.8%増の11万7千頭、牛肉は同10.3%増の14万5千トンといずれも増加している。両品目ともにドイツが最大の輸入相手国であったが、2005年上半期はドイツの牛肉生産が減少したことから、牛肉の輸入相手方の第1位はオランダとなっている。

 逆にフランスからの輸出は減少しており、2005年上半期の生体牛は前年同期比7.3%減の67万7千頭、牛肉は同19.5%と大幅に減少して10万トンとなっている。

フランスの生体牛および牛肉の輸入量(1〜6月)

資料:フランス関税局

フランスの生体牛および牛肉の輸出量(1〜6月)

資料:フランス関税局


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