● ● ● 2005/06年度の生乳生産は、前年度比１％増、気象条件で上積みも期待 ● ● ●

　豪州農業資源経済局（ＡＢＡＲＥ）は９月、四半期ごとに行っている農業産品需給予測を公表した。これによると2005/06年度（2005年７月〜2006年６月）の生乳生産量は、前年度比１％増の1,022万８千キロリットルと見込んでいる。豪州国内では、02/03年度の干ばつの影響から乳用牛飼養頭数の回復が遅れていることで、大幅な生乳生産量増加は難しいとされる。しかし、６月以降の生乳生産地域での広範囲な降雨により、春先の順調な牧草生育が予測されることや、生産のピークを迎える年末までの気象予測も平年並みの降雨量・気温が見込まれることから、状況によっては、今後、生産量の上積みも予測されている。

表１　生乳などの生産予測

注：2004/05年度は概算値、2005/06年度は予測値

● ● ● 2005/06年度の輸出量、輸出額は、チーズ、全粉乳を軸に増加 ● ● ●

　一方、2005/06年度の乳製品生産についてＡＢＡＲＥでは、国際価格が高値で推移するチーズ、全粉乳が増加する反面、バター、脱脂粉乳生産は減少と予測している。また、2005/06年度の輸出額については、前年度比1.6％増の24億5,600万豪ドル（2,161億円：１豪ドル＝88円）を見込んでいる。2004/05年度の輸出額は、乳製品国際価格の高騰を反映し、前年度比9.4％増の24億1,800万豪ドル（2,128億円）と大きく上昇した。品目別では、チーズの伸びが目立っており、前年度比８％増と輸出額全体を押し上げた。ＡＢＡＲＥでは、今後も、チーズや全粉乳を中心に乳製品の国際価格は高水準で推移するとしていることから、高い利益率が見込まれるチーズ、全粉乳を軸に、引き続き輸出量・額ともに好調が期待されている。

● ● ● 乳製品の国際価格は引き続き堅調に推移との予想 ● ● ●

　ＡＢＡＲＥの予測にもあるとおり、乳製品の国際価格は、世界的な乳製品の需要の高まりを背景に、著しく高騰している。ＡＢＡＲＥによると2004/05年度の乳製品の平均取引価格は、バターが前年度比36％高の2,209米ドル/トン（25万２千円：１米ドル＝114円）、チーズは前年度比19％高の2,803米ドル/トン（32万円）まで高騰するなど、全体的に上昇基調で推移した。2005/06年度の乳製品国際価格の動向については、世界的な原油価格の高騰により産油国を中心に乳製品需要が高まる中で、ＥＵで実施された主要乳製品に対する輸出補助金の大幅な削減、また、乳製品介入買い入れ価格の引き下げなどの影響から、引き続き、高値での推移が予想されている。

表２　国際価格の推移

注：2004/05年度は概算値、2005/06年度は予測値