欧州委員会、2004/05年度の生乳供給量を公表


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004/05年度の生乳供給量は1億3千万トン ● ● ●

 欧州委員会は9月30日、EUの2004/05年度(2004年4月〜2005年3月)の生乳供給量(速報値)を公表した。EUでは、84年の共通農業政策(CAP)改革により域内の生乳需給の安定を図る生乳生産割当(クオータ)制度が取られており、農家が乳業者へ出荷する「出荷クオータ」および農家が直接消費者へ販売する「直接クオータ」の双方から生乳の供給量を算定している。

 EU15カ国において、前者は前年度とほぼ同水準の1億1,828万トン、後者は、前年度比5.0%増の108万トンとなった。また、2004年5月に新たに加盟したNMS10カ国の生乳供給量は、前者が698万トン、後者が12万トンで、EU25カ国全体では1億2,646万トンとなっている。


● ● ● 出荷クオータ超過量は107万トン ● ● ●

 EUの生乳生産においては、84年から加盟各国別にクオータを定め、これを超えて生産された分はペナルティが課されることになっており、2004/05年度の課徴金は生乳1トン当たり332.7ユーロ(45,580円:1ユーロ=137円)となっている。

 今回公表された農家が乳業者へ出荷した生乳量と出荷クオータを比較すると、EU15カ国では1億1,788万トンのクオータに対して107万トン超過している。国別では旧加盟国の9カ国が超過しており、最も超過量が多いドイツは、超過量が41万4千トンで課徴金は1億3,761万ユーロ(約189億円)となった。それに次ぐイタリアは、超過量は前年度より約6万トン減少したものの、超過量は41万トン、課徴金は1億3,575万ユーロ(約186億円)となった。そのほか、超過量が多い順にオランダ、スペイン、アイルランド、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグ、デンマークとなっている。

 なお、従来、課徴金は指標価格に115%を乗じることで算定されていたが、2003年のCAP改革で2004年4月から指標価格は撤廃されている。現段階では、クオータ制度が継続する2014/15年度まで毎年度の課徴金単価がそれぞれ設定されている。


● ● ● 直接クオータは3カ国が超過 ● ● ●

 一方、「直接クオータ」についても、EU全体で見れば超過していないが、国別に見るとイタリア(超過量:1万6,594トン、課徴金:552万ユーロ(約7億6千万円))、オランダ(超過量:4,083トン、課徴金:136万ユーロ(約1億9千万円))およびイギリス(超過量:3,895トン、課徴金:130万ユーロ(約1億8千万円)の3国が超過した。

 なお、出荷クオータおよび直接クオータを合計した全体の課徴金は、前年度比5.5%減の3億6,382万ユーロ(約498億円)となっている。

2004/05年度の生乳供給量およびクオータ超過量


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