EU、農業分野での温室効果ガス排出に関するデータを公表


EUの環境・農業合同閣僚非公式会議に先立ち公表

 欧州統計局(EUROSTAT)は9月9日、農業分野での温室効果ガス排出に関するデータを公表した。今回のデータは、9月11日に開催された地球温暖化と農業との関係に関する環境・農業大臣による合同の非公式会議に先立ち提出されたものであり、農業分野での再生可能エネルギー利用の増加などにより、温室効果ガス排出を削減させるための農業分野の前向きな貢献を表すデータとして欧州統計局が提供したものである。


家畜の飼養頭数減少により排出量が減少

 これによると、EU25カ国全体での農業分野からの温室効果ガス排出は、総排出量の10%を占め、これはエネルギー分野に次ぐものとなっている。

 農業分野からの温室効果ガス排出は、家畜の消化管内発酵、家畜排せつ物、農用地の土壌からのものであり、これらの占める割合はそれぞれ32%、20%、48%となっている。

 2003年のEU15カ国の家畜の消化管内発酵について見ると、牛によるものが84%(そのうち搾乳牛からのものが34%)、ヒツジが11%、豚が3%となっている。

 農業分野からの排出は、94〜99年までは二酸化炭素換算で4億9千万トン前後で推移していたが、2003年には、99年と比べて約6%減少した。これの理由として、EU25カ国の全家畜飼養頭数が減少していることを挙げており、2004年のそれは95年と比べて約6%減少している。そのほか、たい肥および肥料の利用の減少を挙げている。


バイオマス利用が増加

 長期的には、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の利用を減少させ、再生可能エネルギーの利用を増加させることがエネルギー分野から温室効果ガス排出を減少させる合理的かつ持続可能な方法である。欧州委員会は、EUでの再生可能エネルギーとしては、特にバイオマス分野が必要であると提案している。EU25カ国でのバイオマス利用は年々増加しており、2003年の利用量は、93年に比べて47%増加している。


原油に代わるエネルギー利用などを推進

 また欧州委員会は9月6日、最近の原油高に対応するための計画について議論を行った。この中で原油に代わるほかのエネルギーへの切り替えなどを挙げており、(1)本年中にバイオマス行動計画の提案、(2)本年中に、加盟国別の再生可能エネルギー源に対する援助対策資金の規則案作成、(3)2006年の早期に生物燃料に関する規則案の作成−などを行うとしている。

EU15ヶ国における農業分野における分野別温室効果ガス排出割合(2003年)(%)


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