バイオテクノロジーはアルゼンチンの農業生産を強化
8月23日アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は、形質転換により除草剤グリホサートに耐性を持つトウモロコシ種子(GA21系統)の商業的な許可を、決議第640/2005号(2005年8月22日付け、同月25日公布)により与えたことを発表した。
プレスリリースでは、この新しい遺伝子組み換え(GM)系統を承認したことで、「アルゼンチンを世界第2位のトウモロコシ生産国としての立場を強化」し、さらに「世界有数のバイオテクノロジー作物の生産国とするものである」としている。
アルゼンチンではこれまでに、大豆1件、綿花2件、トウモロコシ6件の合計9件について商業化(環境放出を含む)が許可されており、今回の措置で10件目となる。
さらにSAGPyAは、今回の許可により組み合わせ系統としてよく知られている2系統(害虫抵抗性(Bt11)と除草剤耐性)による技術開発の第一歩になるとも考えているようだ。
なおアルゼンチンで生産される大豆の9割が、またトウモロコシでは4割程度が、すでに遺伝子組み換え体(GMO)であるといわれ、主要農産物についてはバイオテクノロジーが重要な位置を占めている。
トウモロコシ、大豆との競争力も向上へ
近年アルゼンチンでは、大豆輸出が好調でありかつその国際価格も高かったため、大豆を連作する傾向にあり、大豆栽培と競合するトウモロコシの競争力が低下してきていた。また大豆の連作障害を危ぶむ声も聞かれていた。
そこでプレスリリースでは「この新たなグリホサート耐性のGMトウモロコシの許可により、数千に及ぶ生産者が利用可能となり作付けが拡大するであろう。また生産量の増加とコスト低減により所得の増加をもたらすことから、利益は指数関数的となると考えられる。
新しい生産方式の導入を容易にしたことにより、技術面でトウモロコシ生産が大豆生産に追いつくことが可能となり、両作物が競争することで均衡ある輪作を通し、わが国の農業を持続可能なものにするであろう」としている。
バイオテクノロジーの開発や商業化を実践する企業の育成なども目的
なお2004年7月には、グリホサート耐性を有するトウモロコシの系統はすでにモンサント社のNK603によって許可されているが、SAGPyAは今回の新たな許可の目的に、
(1)国際競争力の強化を図るための開発条件を創出すること
(2)作付けなどについて生産者に、競争と決定の機会を与えるため、GMにより導入された特性を備えるトウモロコシの商業化を行う国内企業の育成・増加を図ること
−を挙げており、さらに、「世界第2位のGM作物の生産国であると同時に、トウモロコシの主要輸出国の一つであるアルゼンチンのような国では、GA21系統の認可は極めて重要な事項である」とバイオテクノロジーの商業的な導入を重視するコメントも出している。
(参考)
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アルゼンチンにおける商業化許可の GMO−※グリホサート耐性
大豆:40-3-2系統※
綿花:MON531、MON1445※
トウモロコシ:176、T25、MON 810、Bt11、NK603※、TC1507、GA21※ |
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