米国農務省、米国産BSE陽性牛に関する疫学的調査を終了


USDA、FDAは米国産初のBSE陽性牛に関するテキサス州政府との共同調査を終了

 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)と保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)は8月30日、2005年6月にBSE陽性との検査結果を得た牛に関する調査を終了したとして当該調査報告書を公表した。調査報告書の概要は以下のとおり。

 当該陽性牛(調査牛)とその生産農場と考えられたテキサス州内の農場の牛から採取した血液試料中のDNAを分析した結果、調査牛との関連が判明し、当該農場が生産農場(調査農場)であると特定した。調査牛は死亡した時点で推定12歳のブラーマン種の交雑種であった。調査農場の農場主は調査牛は当該農場で生産され2004年11月に市場で販売するまでの間、当該農場で飼養されていたとしている。調査牛は、BSEの原因であると考えられる物質に汚染された飼料を牛が摂取するリスクを最小限とするためにFDAにより設定された97年の飼料規制以前に誕生した。

 農場主は当該牛の産後の肥立ちが優れないため、2004年11月11日に市場を通じて売却した。当該牛は同月15日にと畜場に輸送されたが、と畜場への到着時には既に死亡していたことから、同日BSEのための採材が行われたペットフード工場に搬送された。この工場は調査牛を製品には使用せず、そのと体は2004年11月に焼却処分された。

 APHISは90年以降の調査農場を去ったすべての成牛のみならず、調査牛の死亡前2年間に妊娠出産された牛の調査を試みた。ともにこれらの家畜は関心牛と呼ばれた。

 一連の調査において、USDAは調査牛の牛群が生産された調査農場から総計で67頭の関心牛を隔離し検査した。当該農場では、耳標、入れ墨、焼き印の記録が行われており、これらの人為的な標識ならびに歯列による月齢の判別を行い調査に活用した。これらすべての家畜はBSE陰性と検査されたため、調査農場の牛群への移動制限を7月11日に解除した。

 調査農場に記録がなく、耳標の付け替えなどが行われていることから、90年以降に調査農場から出荷された全ての牛である200頭の成牛を関心牛として調査した。当該200頭のうち、143頭がと畜され、1頭は死亡が確認され、2頭の生存が確認され(1頭は年齢から関心牛ではないことを確認)、34頭は死亡したと推定され、20頭が追跡不可能との結論に至った。

 成牛に加え、APHISは調査牛から生産された2頭の産子の調査を行った。農場内の記録が残されていなかったため、農場主とその一族の名義で市場で販売された牛について、家畜市場の記録により213頭の子牛を追跡した。これら213頭の子牛のうち、208頭はと畜および肥育されていた。また、4頭は肥育後と畜されたと推定され、1頭は追跡不能であった。

 汚染された飼料が調査牛の感染に果たした可能性のある役割を決定するため、FDAとテキサス飼料・肥料管理サービスは以下の2つの主要な目的について調査を行った。1)BSEの原因のもととなった可能性のあるすべてのタンパク原料についての飼料原料の履歴からの確認。2)97年以降に当該牛群から移動した牛がUSDAに関心牛として認識され、かつ、97年の飼料規制を順守してレンダリングされたことの検証。

 飼料の履歴の調査において、90年以降当該農場において使用された21の飼料または飼料添加物が確認された。これらの飼料原料は3つの飼料小売店から購入され、9つの飼料工場において製造された。調査の結果、97年以降使用された一切の飼料または飼料添加物は禁止されているほ乳類のタンパクを含まないよう調製されたことが判明した。この調査結果に基づき、FDAは当該牛は97年の飼料規制に先立ち感染した可能性が最も高いと結論づけた。

 この農場から出荷された牛群の廃棄に関する調査は9カ所のと畜場および8カ所のレンダリング施設の訪問を含めた。調査の結果、すべてのレンダリング施設は飼料規制を順守して操業されていた。これらのレンダリング施設それぞれに関する査察の結果を再調査したところ、FDAの飼料禁止規則へのいかなる違反も見つからなかった。


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