EUの牛肉輸出が大幅に減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 補助金付き輸出は記録的な大幅減少 ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)はこのほど、2005年4月までのEU25カ国の牛肉輸出状況を公表した。これによると、2004年7月〜2005年4月の補助金付き輸出量は、前年同期比32.6%減の21万5千トンと大幅に減少した。一方、2004年7月〜2005年3月の補助金無し輸出は、算定期間外の2004年5月にEUに加盟した新規加盟国(NMS)の2カ国が上位にランクインしたことにより、単純には比較ができないものの3万7千トンから5万9千トンへ増加している。

補助金付き牛肉輸出状況

期間:7月〜4月
資料:ZMP


● ● ● ドイツを筆頭に、上位輸出国は軒並み減少 ● ● ●

 輸出状況を国別に見ると、補助金付き輸出の第1位はドイツで前年同期比32.1%減の5万6千トン、第2位のアイルランドは同35.1%減の4万2千トン、第3位のイタリアは同47.0%減の3万1千トンとなっている。ドイツをはじめとしたこれらの国々の牛肉輸出が大幅に減少している要因として、ポーランド、ハンガリーなどのNMSやアルゼンチン、ブラジルなどの南米産牛肉と輸出市場において競合が激化していることが挙げられる。また、主要輸出国の牛飼養頭数が減少傾向にあることや輸出市場において牛肉需要が減退傾向にあること、さらに、多くの輸出国における肥育牛価格が今年に入って上昇していることも一因とされている。

 なお、ZMPによると、補助金付き輸出の約半数はロシア向けの冷蔵品で、アイルランド、イタリアおよびドイツがその主要輸出国である。


● ● ● ポーランド、ハンガリーが主要輸出国に ● ● ●

 一方、補助金無し輸出が大幅に増加したのは、NMSの中でもポーランドおよびハンガリーが低価格路線を打ち出して牛肉輸出に参入して来たためで、この2カ国で全体の5割以上を占める状況となっている。従来からの加盟国では、オランダが前年同期比23.9%減の8千トン、ドイツが同52.4%減の8千トン、オーストリアが同28.9%減の3千トンとなっており、ポーランドおよびハンガリーにシェアを奪われる形でいずれも大幅に減少している。

補助金無し牛肉輸出状況

期間:7月〜4月
資料:ZMP



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