最近の北米における生体牛市場


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 米国の上半期生体牛輸入頭数は9.4%増 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、米国の2005年上半期(1〜6月)生体牛輸入頭数は前年同期比で9.4%増の68万5千頭となった。生体牛の主要輸入国であったカナダがBSE発生により輸入の一時停止措置が採られていたため、輸入国はメキシコのみとなっていた。

 今後のメキシコからの生体牛輸入についてUSDAは、これから夏にかけてメキシコの季節的な要因により、頭数の減少が見込まれるとしている(図1参照)。しかし、年度全体でみると、過去最高を記録した2004年とほぼ同じ水準で順調に推移している。9月以降は、メキシコからの輸入が再び増加に転じるものの、米国内の肥育素牛および肥育牛価格は引き続き強含みで推移するものと予想される。

メキシコからの生体牛輸入の推移

資料:USDA

● ● ● カナダ産生体牛の輸入再開で肥育素牛価格が上昇 ● ● ●

 7月14日、サンフランシスコ連邦高裁の決定により、カナダ産生体牛の輸入が再開された(「畜産の情報 海外編」2005年7月号 海外トピックスを参照)。カナダの生産者にとって、歴史的な高水準で推移する米国の肥育素牛価格は魅力的に写る。USDAによれば、輸入再開後カナダの肥育素牛価格は上昇に転じており、カナダのフィードロットは再び米国との競争にさらされている。

 しかし、カナダ産肥育素牛の供給は依然としてBSE発生以前の水準を下回っている。カナダ肉用牛生産者協会(CCA)のCanFaxによれば、2005年8月のフィードロット導入頭数は71万頭と前年同月では16.8%上回ったものの、カナダにおけるBSE発生以前の2001年および2002年同月と比べるとそれぞれ、17.1%減、5.1%減となっている。

 

● ● ● カナダ市場は新たな平衡状態へ ● ● ●

 最近のカナダ市場は、30カ月齢未満の生体牛の輸入が再開された一方、30カ月齢以上の生体牛およびこれら牛由来の牛肉に対する輸入停止が依然継続していることが折り重なって、新たな平衡状態に入りつつある。USDAによれば、カナダの肥育牛価格および肥育素牛価格は米国の高値に連動して上昇が続いている。このため、カナダのパッカーは、経産牛のと畜シェアを増やしていくことが見込まれる。


元のページに戻る